公開日:2010/12/10
フラッシュ型教材活用セミナー in 福島
2010年11月6日、福島県郡山市の福島県農業総合センターにて「フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。ここに、その詳細について、ご紹介いたします。
趣旨説明
まずは、フラッシュ型教材の実践でスタート!
「帯分数を仮分数に直しましょう」―連続して5つの分数が表示されました。
誰もがすぐに答えられる簡単な問題から、徐々に難易度の高い問題を…5問目ともなると全員の声が揃いません。すかさず、もう一度同じスライドが同じ順に示されました。今度は答える声が実にきれいに揃いました。
たった5問のスライドですが、「1回目よりも2回目のほうが答えやすい」「繰り返すことでよく理解できる」ということに参加者は気づいたようです。
続いて「都道府県名」に関するフラッシュ型教材を体験。
「みんなで一緒に読みましょう」の発問に、参加者は大きな声で提示された都道府県名を順に読み上げます。そして、「県庁所在地を言いましょう」「名物を言いましょう」と発問が変化。ここでは、同じスライドを使っても、発問によって難易度が変化し、併せて緊張感も生まれることを実感されたようです。
「単純だけど奥が深いんです。これが、フラッシュ型教材なんです」という堀田先生のひと言に、参加者の「なるほど!」「この先が”楽しみ”!」といった納得の表情がくみ取れました。
模擬授業?
皆川 寛先生 (宮城県登米市立北方小学校)
フラッシュ型教材を活用した模擬授業を4つ体験します。
1つ目の模擬授業は、社会科。関東地方の都道府県名を地図で確認しながら答えます。赤く塗りつぶされた県の名前を答えたり、表示された県の位置を数字で答えたりとさまざまな方法で確認していきます。「隣の人より早く言おう!」という先生の指示に、参加者は夢中になって答えていました。
2つ目は国語の模擬授業。数字が入った四字熟語を読んで覚えます。さらに、数字部分が□になったり、順番が変わったりと、少しずつ難しくなりますが、ここは参加者の声は大きく、見事に揃っていました。大盛り上がりです。
3つ目の模擬授業は算数。「2と3の最小公倍数は6」と書かれたスライドを読み、最小公倍数について確かめます。次に答えが隠されたスライドや2つの数字のみ表示されたスライドが示され、生徒になりきった先生方は、みんな大きな声で答えていました。
4つ目は社会科の模擬授業です。国旗と国名が書かれたスライドが示され、まずは国の名前を読みます。次は国旗だけが表示されて国名を答えます。今度は、ある国の有名な建造物や食べ物の写真が表示され、その国名を答えます。最後は世界地図で赤く塗りつぶされた国名を答えるといった流れで、同じ国について、様々な角度からの学習に、うなずく姿が数多く見られました。
いずれの模擬授業とも、基礎・基本の知識を習得すべく、シンプルな内容ばかり。
フラッシュ型教材がどんな教科においても活用できること、繰り返すことでより確実に覚えられることを把握されたようです。
教材作成・活用体験演習
今度は、「教材作り」に挑戦。班ごとにテーマを決めて、実際にフラッシュ型教材を作成します。模擬授業でフラッシュ型教材のイメージができているので、次々とアイデアがあふれ出ています。四字熟語やかけ算九九、昆虫の特徴などなど、短い時間でしたが、それぞれにいろいろな教科の教材ができあがりました。
さっそく、作成した自慢の教材を他の班へ紹介して回ります。自分たちのアイデアと似ているもの、まったく考えもしなかったものなどさまざまな教材に触れ、「この教材はすばらしい!」「このスライドは最後のほうがよいかも」などと、あちらこちらで、和気あいあいの意見交換風景が見られました。
グループでテーマを決めて、そのテーマに向かってさまざまなアイデアを出し合い、一つの教材を作成することで、フラッシュ型教材の作り方や具体的な活用の仕方について、短時間ながらも、そのコツを確実につかめたようです。
対談:フラッシュ型教材ここからはじめる
三好亜理紗氏(プロジェクト事務局・チエル株式会社)
ここでは、フラッシュ型教材を無料でダウンロードできる専用のサイト「eTeachers」の紹介が行われました。会員登録(無料)の仕方をはじめ、学年・教科を選択して、必要な教材をダウンロードするまでの手順について、サイトの画面を映し出しながらの説明に、参加者のうなずく姿がここでも数多く見受けられました。
高橋先生からは、ダウンロードした教材は、コピーをしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりと、簡単に編集して、先生なりの教材を作成できること、また先生が作られたフラッシュ型教材を「eTeachers」に投稿し、会員の先生方に利用していただくこともできるといった活用のポイントが示されました。
「eTeachers」には、2010年11月末現在で、教材数は1万2千、会員数は1万人を超え、大勢の先生方にご利用いただいております。ぜひともご活用ください。
模擬授業?
笠原晶子先生 (群馬県前橋市立桂萱東小学校)
表 克昌先生 (富山県氷見市立明和小学校)
「じっくり模擬授業4実践」では、製品化されている、教科の基礎・基本シリーズ(1年生〜6年生)、食育、小学校英語のフラッシュ型教材を活用した模擬授業を体験します。
『フラッシュ基礎・基本』の国語(3年生)の教材を使った、ローマ字の読みの学習です。小文字の「は行」を繰り返し、次に、「は行」の文字で始まる単語を読みます。生徒になりきった参加者の大きな声が響きました。
また算数(4年生)の教材を使った模擬授業では、
フラッシュ英語表現』を使った、「教科」についての学習です。まずは、”What subject do you like?””I like 〜. “を繰り返し、教科の言い方と、好きな教科の聞き方・答え方の表現を徹底練習しました。
教科の単語と表現を確認できたところで、「バトルシップゲーム」にチャレンジです。右の写真のように、教科名をタテ軸、曜日をヨコ軸にした3×3のマスの好きなところに船を描きます。準備ができたところで、”What subject do you like?”とたずね、解答者が指示したマスに×を書いていき、最後まで自分の船が残った人が”Winner”、というわけ。隣の参加者とワイワイと楽しんでいる姿や、自分の船に×が付いてしまい、うなだれて着席する姿など、悲喜こもごもの風景があちらこちらで見られました。
『フラッシュ英語表現』での単語や表現を使って行うアクティビティによって、確実に知識が身に付くと同時に、コミュニケーション力も磨かれることを実感したようです。
パネルディスカッション
笠原晶子先生 (群馬県前橋市立桂萱東小学校)
表 克昌先生 (富山県氷見市立明和小学校)
パネルディスカッションは、高橋純先生によるコーディネートのもと、日常的にフラッシュ型教材を活用しているお二人の先生から、とっておきの活用ポイントが紹介されました。
笠原晶子先生からは、「活用しはじめのときは、九九のような簡単な計算や都道府県名といった効果が見える定番のものからはじめるのが良い。慣れてきたら、教科書や子どもの実態に合わせて教材を編集したり、市販の教材を活用したりすると良い」と、お話がありました。
さらに、子どもたちそれぞれの到達度を大まかにつかみながら、難易度を少しずつ上げることにより集中させるといった「提示方法と答えさせ方の工夫」や、短い時間で何度も繰り返し、毎日行うといった「日常的に取り組む工夫」についても活用のコツとして紹介いただきました。
表克昌先生からは、英語活動において先生方が最も不安に感じているのは「発音」であるという調査結果をもとに、「『フラッシュ英語』には、ネイティブ・スピーカーの音声が付いているので、正しい発音はそちらに任せることで、英語が苦手な先生も安心して授業に取り組めます」。そして、「英語活動の目標はコミュニケーション力を育てることです。しかし、基本となる英単語や英語表現の知識が足りません。その部分をフラッシュ型教材で定着させることがおすすめです」と話されました。
お二方の体験を通した貴重なお話に、真剣な表情で耳を傾ける姿が見られました。
総括講演
「薬には、それぞれに異なる効能があります。これはICT活用とよく似ています。フラッシュ型教材は、じっくり考えさせるものには向いていません。瞬時に答えられるような、基礎的な知識の習得に効果が表れるのです」―堀田先生の総括講演は、このお話から始まりました。
そして、「全国の8割の教室には、テレビ、プロジェクタなど、いずれかのICT機器が導入されています。大きく映す機器は一つあればいいわけで、何を映すかが重要です。フラッシュ型教材はその一つです。同じフラッシュ型教材を使っても、どんな授業になるかは先生次第です」。
さらに、「ICT活用の研修は、操作スキルの習得が中心の研修ではなく、具体的な授業技術を身につけるための研修であることが大切です」という堀田先生のしめくくりのお話に、参加された先生方はとても真剣に聞き入り、大切なポイントを漏らすまいと熱心にメモをしている姿が印象的でした。
☆参加者の感想(アンケートより)
- 一つの教材でも発問によって変化することがわかり、目からウロコ!でした。
- 「定番から始める」ことが校内での活用を広めるカギになるとわかった。
- 提示の仕方によって、問題の難易をつけられることが、とてもよくわかった。
- 先生方が使うにあたり、ハードルが高くなく、工夫できる教材であると思った。
- 電子黒板や大型テレビを活用するにあたり、ぜひフラッシュ型教材を使ってみたいと感じた。
- 実際に来週から教室でやってみようと思った。