誰にでも分かりやすい画面 アカウント管理負担は従来比で半減
―福岡県―
中村学園大学
福岡県の中村学園大学は2021年度に学内のコンピューターシステムの更新を行った。要となったのはユーザー管理システムだ。学外からのアクセスが必須となるコロナ禍において求められる機能や今後の展望についてお話を伺った。
中村学園大学
〒814-0198 福岡県福岡市城南区別府5-7-1
1954年開校の福岡高等栄養学校を淵源とし、1965年に大学を開学。栄養科学部、教育学部、流通科学部の3学部と大学院3研究科、短期大学部から成り学生数は約4500人。第35回管理栄養士国家試験の合格者数は210名と、全国第2位、西日本第1位。小学校教員採用試験においても毎年高い合格率を維持する。
パスワードの再発行がスマートフォンで完結する
ハードウェア製品を原則6年ごとに見直している福岡県の中村学園大学では、ちょうど6年目にあたる2021年度に向けて「教育研究用コンピューターシステム更新計画」を進めていた。パソコン教室のハードウェア製品をはじめ、さまざまなシステムの更新を検討する中、要となったのはユーザー管理システムだ。
中村学園大学 学術情報部の東秀明氏は「コロナ禍におけるユーザー管理システムでは、スマートフォン対応が必須であると考えていました」と当時を振り返る。既存システムの場合、利用者である学生がパスワードを忘れてしまった際、再発行するには「秘密の質問と答え」を入力する必要があったという。
「しかし、質問と答えの双方を忘れてしまった学生は、大学の窓口まで足を運ばなければパスワードの再発行ができませんでした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面対応が難しい今の社会情勢においては、この運用は難しいと考えていました」(東氏)
そこでシステムの見直しを行っていた中村学園大学は、2021年3月に統合ID管理システム「ExtraConsole®(エクストラコンソール)ID Manager」を導入した。「複数のSIer(エスアイヤー)から、ExtraConsole®ID Managerの提案があったこと。また、同システムを導入した近隣の大学から話を聞いていたこともあり、既存システムからの入れ替えを決めました」(東氏)
導入の決め手となったのは、スマートフォンが標準対応だったことだ。東氏は、「ExtraConsole®ID Managerは、学生が使用するシーンを想定したシステム設計でした。例えばパスワードの再発行も、メールアカウントを入力すれば案内メールが届き、スマートフォンだけで手続きを完結できます」と説明する。
細かな設定も自動で反映
1画面に基本機能を集約
中村学園大学のユーザー管理システムは、ユーザー、パソコン、サーバー、プリンターといったネットワーク上のリソースを一元管理するディレクトリサービスAD(Active Directory)や複数のシステムと連携している。ExtraConsole®ID Managerはこうした学内のさまざまなアプリケーションのID管理サーバーを統合しているため、パスワードを更新した際も自動で連携される。
東氏は、「詳細部分も自動で連携され、個々のソフトウェア上での設定が不要になったのは、大きなメリットの一つです」と明かす。
ExtraConsole®ID Managerは、管理画面のUI(ユーザーインターフェース)も重視している。ID管理システムにありがちな複雑なインターフェースや専門知識を必要とする表記をなるべく排除し、分かりやすさを追求。一つの画面内に基本的な機能を集約し、管理者が使いやすい構成を心掛けている。
「既存システムはコンテンツの横幅が固定されていたため、文章量に応じて文字が画面からはみ出してしまうなど使いにくい一面がありました。ExtraConsole®ID Managerではそうしたこともなく、誰が操作してもおおよそのことは実行できる印象です。また、アカウント発行などの処理速度も速く、従来の半分の時間で完了できるようになりました」(東氏)
2022年度に向けてシボレス認証の連携を検討
2022年度に向けて、中村学園大学では学術認証フェデレーション(学術eリソースを利用する大学とそれを発行する学会や研究機関、出版社などで構成された連合体)を、国際規格SAMLに準拠したShibboleth(シボレス)を用いて連携することを検討中だ。ExtraConsole®ID Managerは、こうしたシボレス認証などのシングルサインオン環境構築の支援も行う。
この学認サービスが利用できるようになれば、学生や教員は統一アカウントで大学が契約中の電子ジャーナルやデータベースに学外からアクセスできるようになる。長引くコロナ禍におけるリモートアクセスの選択肢の拡大など、中村学園大学ではオンライン対応の強化を図っていく。