公開日:2008/5/11

「フラッシュ型教材を用いて、学力の定着を図る」〜すべては子どもたちの「わかった!」という一言のために〜

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 今回の訪問では、まず、天野先生が担当する1年生国語の授業に参加した。1年生が学習する漢字は80字。その中の10文字を素材とした「フラッシュ型教材」を用いて学習が始まる。
 天野先生の「さぁフラッシュするよ!」の一声で、子どもたちは投影される漢字を声に出して読み上げていく。学校中に響き渡る大きく元気な声に、教室内が一瞬で活気に溢れた。 漢字の”読み(※1)”が終わると、80字も書いてある漢字表から、2画の漢字を”探し出す”問題へと移る。天野先生の「二と十もそうだねぇ、他にはまだあるかな?」という明るい問いかけに、子どもたちは我先にと手を挙げた。

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※1

続く”画数を覚える”教材では、子どもたちは片方の手で筆順を空書きし、もう片方は指折りしながら画数を数える。最後の問題は、”一部分が隠れた漢字を当てる”教材(※2)だ。まるでテレビのクイズ番組を楽しむかのような声があがる。どの子も食い入るような目でスクリーンを見つめ、前のめりになったり、立ち上がりながら一瞬でも早く問題を見ようと一所懸命だ。

 その後、配布したワークシートに漢字を書かせて、この課題は終了した。この間、わずか10分程。45分という限られた授業時間の中で、低学年の授業がテンポよく進められていた。

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※2

 授業を終えた天野先生に話を聞いた。  「私の授業では、”2画の漢字””3画の漢字”というように漢字の画数に注目させ、”探して・書き取らせる”課題を出します。画数で覚えさせることで自然と筆順も覚えることになりますから、文字も綺麗になりますよ。漢字の苦手な子どもも読み書きが得意になったり、授業が終わると『漢字を宿題にしてください!』と直談判にくる子もでてきたりして、学習に対する子どもたちの変化には本当に驚かされました」。
 「フラッシュ型教材」を授業で活用するということが、子どもたちの”漢字を覚えたい”という思いを育てるきっかけの一つとなっているのは明らかだ。

 同校で「フラッシュ型教材」を使っているのは、天野先生だけではない。  「紙のカードとは違い、置き場所に困るとか、問題が見えないということがなくなりました。朝自習などの少しの時間でも学習できるのは、大きなメリットですね」と話すのは、6年生担任の作田先生。「クイズみたいなので、やる気が出るみたいですね。課題を工夫し、中学につなげるための授業ができればと考えています」という。高学年の指導にも発展的な可能性があるのだ。
 一方、「提示用教材としておもしろく効果があると思ったので、すぐに使い始めました。ファイルを無料でダウンロードでき、簡単な操作で使えるというのが魅力です」と話すのは、3年生担任の田村先生。

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 「私の場合、問題の中にわざと学習していないものを入れておきます。習っていないものでも正答する子どもが1人はいて、ヒーローになります。すると、周りの子どもも追いつこうと勉強してくるようになりました。  また、全員を起立させ、正答できた子どもから座るようにすると、教師も子どもたち自身も理解度をチェックすることができます。間違えた子どもも、めげることなく”今度こそは!”と練習してきます」。ややもすれば単調になりがちな基礎基本の指導だが、やる気を引き出す工夫が随所に見られた。  「子どもたちはドリル学習って嫌がるでしょう? でも、ゲームの修行になると得意ですよね。やっていることは、結局同じことなのですが。これらをどうつなげるかが、私たちの務めです」と力を込めて話すのは、三明教頭だ。
 教材研究に対する先生方のこのパワーが、馬橋小の明るい雰囲気を作り、新しいアイデアに挑戦し、活用していこうとする活力につながっているのだと感じた。

 

1年担任 天野 三鶴先生

3年担任 田村 昌子先生

6年担任 作田 佳子先生

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