公開日:2010/9/30

懇談会での貴重なご意見をもとに、 今後の「フラッシュ型教材」の実践に活かしたい。

 フラッシュ型教材「研修パック」完成直後の7月中旬、「フラッシュ型教材活用に関する懇談会」が開催された。参加者は、全国各地の県・市町の教育委員会や教育センターの指導主事、小・中学校の校長・教頭など、44名の先生方。フラッシュ型教材を使った模擬授業や研修会での実践報告などが行われ、先生方の貴重なご意見をお聞きすることができたという。さっそく、懇談会を主催した「フラッシュ型教材活用実践プロジェクト」のサブリーダーである、富山大学の高橋純准教授に、懇談会での様子をお話いただいた。

 この懇談会を開催したのは、集合研修を担当する指導主事の先生や校内研修を推進する管理職の先生方に、本プロジェクトの成果であるフラッシュ型教材の特長や効果、研修の進め方などをご提案し、ご意見をおうかがいするためです。その結果から改善を行い、フラッシュ型教材の実践や研修の進め方をより高めていこうと考えたからです。
 そのため、懇談会のプログラムも、フラッシュ型教材を使った模擬授業やフラッシュ型教材の特長と意義の説明、フラッシュ型教材の校内研修・集合研修の実践報告、ディスカッションと、多岐に渡りました。
 その概要と、参加した先生方の感想を紹介しましょう。

●フラッシュ型教材を使った模擬授業

 フラッシュ型教材を日常的に使っている先生たちが、算数、音楽、国語、社会、英語など全6本の模擬授業を実演。参加した先生方は子ども役となって、フラッシュ型教材を体験しました。
「模擬授業のおかげで、子どもの気持ちになってフラッシュ型教材について考えることができた」(教育センター・指導主事)

●eTeachersの紹介

 先生方がフラッシュ型教材を投稿し、自由にダウンロードして活用できる無償のサイト「eTeachers」の使い方や教材例も紹介しました。
「このサイトはとても良い。センターでの研修でぜひ紹介したい」(教育センター・指導主事)

●「研修パック」の紹介

 「研修パック」について、各巻の内容や特長を紹介しました。我々がこれまでつちかってきたフラッシュ型教材のノウハウを結集し、誰でも簡単にすぐに研修ができる教材であることをお伝えしたところ、先生方も大きくうなずいていらっしゃいました。
「フラッシュ型教材の良さや使い方を正しく伝えるのは簡単ではないと思っていましたが、研修パックを見て、『これはいける!』と感じました」(教育委員会・指導主事)
「教育センターの教員研修を企画する者としては、研修パックは非常に有り難い。フラッシュ型教材は『知識の定着に効く教材』ですから、使い方を間違えないように、研修のねらいを明確にして、使いたいと思います」(教育センター・指導主事)
「さっそく研修パックを使って研修を実施することになりそうです」(教育委員会・指導主事)

フラッシュ型教材は、普通教室での
一斉指導向けのデジタル教材

 何よりうれしかったのは、この懇談会を通じて、先生方がフラッシュ型教材の良さや魅力を実感していただき、さらにそれを高めるための貴重なご意見を頂戴できたことです。
「シンプルなのがよい。短時間での活用がよい。これで、教員へICT活用の新たな方法を提示できる」(小学校・校長)「授業の活性化・基礎基本の習得という点で、大変効果的であると思います」(教育センター・指導主事)
「授業の始まりの5分間だけでも効果を出せるのが魅力的」(教育委員会・指導主事)
 また、大型ディスプレイが一斉に導入された今、「こんな教材を求めていた!」とのご意見もいただきました。
「フラッシュ型教材は、大型テレビやプロジェクタの日常的な活用を促す仕掛けになると感じました」(教育センター・指導主事)
「昨年度の補正予算で整備した、大型テレビの有効活用につながると感じました」(教育委員会・指導主事)
 さらに、フラッシュ型教材が効く場面と伸ばす力を的確に見抜かれた感想もいただきました。
「私はこれまで、『思考力』の育成をテーマに、子どもたちの力を伸ばすことを考えてきましたが、思考力は学んだ知識や概念がなければ伸びないと痛感し、基礎的知識の定着のための方策の大切さを感じていたところでした。フラッシュ型教材は、その方策の一つとして非常に良いものと思います」(教育委員会・指導主事)
 子どもたちに思考力・判断力・表現力などを育んでいくことも当然大事ですが、それを支えるための知識・技能を習得することも不可欠。この知識・技能の習得に、フラッシュ型教材は効くのです。

 日本の教育は一斉指導が多く、対して、イギリスなどは個別学習の色合いが強いようです。ですから、海外の教材やICT活用方法をそのまま輸入しても、日本の教育には必ずしも適しません。その点、フラッシュ型教材は、普通教室での一斉指導向けのデジタル教材であり、日本の授業との親和性は高いと言えます。今のところ、一斉指導向けのデジタル教材は数少ないのが現状です。だからこそ、フラッシュ型教材をもっと多くの先生方に使っていただきたいと願っています。

この記事に関連する記事