今から始めるタブレットPC【第3回】

― タブレットPC初心者を応援します! 連載企画 ―


タブレットPCやフラッシュ型教材、デジタル教科書…
さまざまなICT機器やデジタル教材を効果的に使えるようになった!

タブレットPCに触れたこともなかった坪田沙織先生が、タブレットPCの活用方法を一から学ぶ連載企画の第3回。前回の取材から約4か月が経過しています。坪田先生は、どのように変化したのでしょうか。さっそく、4年1組の算数の授業を拝見させていただきました。

まずは、「立方体」を、フラッシュ型教材、デジタル教科書で復習

 今日の授業は、4年算数「箱の形を調べよう」です。坪田先生はまず、前時の復習から授業をスタートさせました。
「前時では、立方体について勉強しましたね。では、フラッシュ型教材でいっしょに復習しましょう」

 そう言うと、坪田先生は教員用タブレットPCを操作して、大型テレビに『小学校のフラッシュ 基礎・基本』を映し出しました。4か月前は「ICT機器の実物投影機しか使ったことがなかった」のに、デジタル教材のフラッシュ型教材も使いこなせるようになったようです。

「正方形だけで囲まれている形を(  )と言います」
「直方体や立方体の面のように、平らな面のことを(  )と言います」
「箱の辺を切り開いて、1枚の絵になるようにかいた図を(  )と言います」

 画面に映し出される問題に、子供たちは声をそろえて元気よく答えていきました。


『小学校のフラッシュ 基礎・基本』を使い、全員で前時の復習

「前時では、みんなで立方体の展開図を書きましたね。今度は、デジタル教科書で復習しましょう」と、デジタル教科書を大型テレビに映し出しました。
「立方体の展開図を書ける人?」と坪田先生が問うと、全員が勢いよく挙手しました。
  指名された子供は前に進み出て、画面に表示された方眼シート上の6枚の正方形をドラッグ&ドロップし、テキパキと立方体の展開図を作りました。そして、画面のスタートボタンを押すと、展開図がみるみる折りたたまれ、立方体が出来上がりました。展開図から立体になるまでの様子を視覚的に理解できる、デジタル教科書ならではの便利な機能です。

初めに、ノートや紙の教材を使って、個別に展開図を考える

「今日のめあては、『直方体の展開図を書いて、お弁当箱を作ろう』です。では、ノートに直方体の展開図を書いてみてください」 と、坪田先生は指示しました。いきなりタブレットPCを使うのではなく、まずは、ノートを使って個別に考えさせるようです。

 さっそくノートに何種類もの展開図をスラスラと書く子供もいれば、うーんと考え込んでしまった子供も。そんな様子を見て、坪田先生は「わからない人は、いつものようにヒントカードを用意しているので使ってね」と声をかけました。ヒントカードとは、坪田先生が自作した紙の教材です。方眼紙上に、3種類の長方形がそれぞれ2枚ずつ、合計6枚書かれています。何人かの子供はこのヒントカードを取りに来て、ハサミで長方形を切り取り、セロテープで貼り合わせて展開図を作り始めました。

 そんな子供たちの姿を机間指導しながら見守っていた坪田先生は、ある子供を指名し、先程のデジタル教科書の機能を使って展開図を書かせました。しかし、スタートボタンを押しても直方体になりません。考えた展開図が正しいかどうかを確かめるのにも、このデジタル教科書の機能は効果的なようです。
「なんでダメなんだろう?」と坪田先生が問うと、「直方体は同じ面が向かい合っていないといけないのに、この展開図では同じ面が隣同士になっているから」と、声が上がりました。

次に、グループに1台のタブレットPCで展開図を考える

「では、5人ひと組で班になってください。グループでタブレットPCを使った学習をしてもらいます。デジタルノートを送るね」

 そう言って坪田先生が各グループのタブレットPCに方眼シートを送信すると、子供たちはワッと額を寄せ合い、タブレットPCをのぞきこみました。

 5人に1台しかなくても、子供たちは上手に役割分担して、グループ学習を進めていきました。タブレットPCを操作して展開図を書く子供、その子に対して「こことここの辺がくっつくんだから、同じ長さにしなきゃ」「ここにこの面が来るんだよ」と自分のノートを見せながら指示する子供、今書いている展開図が正しいかどうか、ヒントカードを切り貼りして確かめる子供。見事なチームワークです。
「まっすぐに辺を書かないと直方体にならないから」と、タブレットPCの画面に定規を当てて、直線を書く姿もあちこちで見られました。子供たちは、ノートと同じ感覚で、学習の道具としてタブレットPCを使っているようです。

 作業に没頭していたある子供が、急に顔を上げて小さく叫びました。「あ! あの班はあんな展開図を書いてる!」

 その視線の先には大型テレビがあり、各グループのタブレットPCの画面がリアルタイムで一覧表示されていました。授業支援システム『らくらく授業支援』の機能です。

 子供たちは、大型テレビで他の班の途中経過を確認しては、「なるほど、ああいう展開図もあるんだね」と参考にしたり、「どこの班も思いついていない展開図を考えよう!」と学習意欲を高めていました。

 子供たちが展開図を書き終えると、坪田先生は『らくらく授業支援』を使って、ある班のタブレットPC画面を大型テレビに映し出しました。
「この班が考えた展開図は、ちゃんと直方体になるでしょうか?」

 なかなか複雑な展開図なので、「できる」「できない」と意見が分かれました。そこで坪田先生は、デジタル教科書の機能で同じ展開図を書いてスタートボタンを押しましたが、直方体になりません。
「どこがダメなんだろう?」と、坪田先生が問うと、「ここの辺の長さが違う!」と、声を上げた子供が、前に進み出ました。そして、デジタル教科書上で面の位置を入れ替えてスタートボタンを押すと、見事、直方体になりました。

 続いて別の班が、自分たちの考えた展開図を発表しました。単にタブレットPCの画面を見せるのではなく、デジタル教科書上で同じ展開図を書いて見せました。そしてスタートボタンを押すと、直方体になりました。とてもわかりやすい発表で、この展開図が正しいことに全員が納得しました。

最後は、直方体の展開図のポイントについて話し合い、発表する

「では最後に、直方体の展開図を書くポイントをグループで話し合って発表してください」

 子供たちからは、的を射た意見が次々出てきました。
「同じ形の面が向かい合うようにする」「そのためには、同じ形の面が隣り合わせにならないようにする」「どの辺とどの辺がくっつくかを考え、辺の長さが同じになるようにする」

 今日の授業を通して、子供たちは、直方体の展開図のコツを、しっかり理解できたようです。タブレットPCやデジタル教科書、フラッシュ型教材などのICTも、随所で活躍していました。

 最終回となる次回は、今日の授業の工夫点や、坪田先生がこの4か月でどうやってここまでタブレットPCを使いこなせるようになったのかを具体的に話していただきます。

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