神奈川県内高校外国語科教員対象夏季CALL研修会
2009年8月24日(月)、神奈川県立白山高等学校にて『高校外国語科教員対象CALL研修会』が、県内の先生方20名参加のもと、以下の3つのプログラムが実施された。
「アウトプットに重点を置いたCALLの授業例」
上智大学 非常勤講師 遠山道子先生
実際の授業と同様に、終始”英語”で進められた遠山先生のプログラム。模擬授業の形式で行われ、参加された先生方は”生徒”として授業を受けた。模擬授業は2つのアクティビティ「Picture Description:英語で絵の内容を説明する」と「Watching a TV Program:英語のTV番組を見ながらスクリプトの穴埋めを行う」で構成。
「Picture Description」では○ △ ☆などの形の言い方と、「〜の中に」「〜の上に」「〜の右に」のような基本的な位置の表現を練習した後、先生がCALLシステムでランダムにペアを組む。各ペアには、いくつかの形を組み合わせて構成された図形が配布され、相手に自分の図形を口頭で説明し、描きとってもらう。離れた席同士でペアになるため、まずは自己紹介から始まり、アクティビティは和やかな雰囲気の中で進んだ。
「Watching a TV Program」では、これから見る動画(TV番組)の内容を理解する上でポイントになる質問があらかじめ配布され、動画を見た後、クラスで答えを出し合う。概要を掴んだ後、個別にディクテーションで穴埋め問題を解き、ペアの「チャット」で互いに答え合わせをする。先生方はすっかり”生徒”になりきり、真剣に課題に取り組んでいた。
個別学習にペアやクラスでの話し合いを組み合わせた活動やCALLの機能をフルに活用した遠山先生の授業はテンポがよく、とても盛り上がり、CALLならではのレッスンが展開された。
『CaLabo EX』の活用に基づいた操作体験
チエル株式会社
これまでのCALL研修会やワークショップでリクエストの多かったCALLの操作体験。今回は白山高校に導入されている『CaLabo EX』の操作を体験していただいた。チエルの担当者が、遠山先生の模擬授業で使われた機能「ファイルの配布」「ペアレッスンとチャット」を解説し、全員でその操作手順を擬似体験いただいた。
模擬授業で使用した機能をなぞることにより、実際の活用に基づいた操作を体験していただきたいという意向の企画。擬似操作体験の後、先生グループと生徒グループとに分かれ、実際に教卓でCaLaboを操作。「ペアレッスン」や「モデル」を実行し、音声をモニタするなど、操作手順だけでなく、先生側では生徒の音声がどのように聞こえるのかも試していただいた。音声がクリアで遅延がないこともご理解いただけたのではないかと思う。
「MSオフィスとインターネットを活用した授業のヒント」
神奈川県立白山高等学校 土屋寛先生
土屋先生のプログラムは、CALL教室で手軽に利用できるツールや教材として使えるWebサイト、およびMicrosoft Officeの便利な機能の紹介と、それらを実際に体験していただくワークショップ。
「生徒に作らせた英文をWordの機能で添削して返す」、「Excelで単語帳を作らせる」といった身近なアプリケーションの便利な使い方や、PowerPointでフラッシュ型教材(*注1)を作成し、『フラッパ』(*注2)でランダムに提示して利用する方法の紹介など、授業ですぐに役立つヒントをご提供いただいた。
先生方からは「普段使い慣れているMS Officeでこんなことができるなんて知らなかった」「ぜひ授業で使ってみたい」等の感想が多く寄せられた。
参加された先生方は、いずれのプログラムにも真剣な表情で熱心に取り組まれ、大変充実した研修であった。
注1:『フラッシュ型教材』
フラッシュ型教材とは、フラッシュ・カードのように、課題を瞬時に次々と提示するデジタル教材。ゲーム感覚で楽しく、集中して反復練習することができることから、基礎学習の徹底に効果があるということで、大変注目されている。
注2:『フラッパ』
PowerPointで作成したフラッシュ型教材を、効果的に生徒に提示できるツール。通常のスライドショーでは実行できない「ランダム提示」や、指定した秒数でスライドを自動的に切り替えてテンポよく提示する機能など、フラッシュ型教材を有効利用するための機能がついている。下記チエルWebサイトより無償でダウンロードできる。
フラッシュ型教材ダウンロードサイト eTeachers
http://eteachers.jp/guide/howto.html
フラッパの使い方
http://eteachers.jp/guide/howto.html