フラッシュ型教材活用セミナー in 四日市

6月26日、四日市市文化会館にて「フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。参加者は104名。定員を大幅に超える参加者があり、さらには四日市ケーブルテレビの取材も入り、大注目・大盛況のセミナーとなりました。

セミナーは、堀田龍也先生(玉川大学大学院 教育学研究科 教授)による主旨説明からスタート。まずはフラッシュ型教材を体験します。「いまから数字を見せます。読みましょう」という指示の後、「1、2、3…」と連続して数字が変わっていき、次に「7倍した数を言いましょう」「英語で言いましょう」「7倍した数を英語で言いましょう」と指示に変化が加わります。最初は楽々と数字を答えていた参加者も、7倍で、英語で、7倍を英語で、と難易度が上がるにつれて、苦しそうな声になっていきます。しかし、表情はどこか楽しげな様子でした。最後のフラッシュ型教材が終わったときに堀田先生は「気づいたことは?」と参加者に問いかけました。「使われたスライドは全部同じだった」「指示は全部違っていた」との答えに、ある参加者はうなずき、ある参加者はなるほどという表情を浮かべていました。
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フラッシュ型教材のポイントをつかんだところで、割石隆浩先生(北海道札幌市立新琴似緑小学校)と此川美奈代先生(富山県滑川市立西部小学校)による国語、算数、社会、音楽のフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。いずれも、「あいうえ おじさん」「かきくけ こんろで」のような言葉遊びの教材を先生の後に続いて読んだり、「1と9で10」のように、いくつといくつで10になるかを答えさせたりする教材、さらには地図記号を答える教材やリズム打ちの教材など、明日からすぐにでも取り入れられそうなシンプルな教材ばかり。フラッシュ型教材がどんな教科においても活用できるということや同じ問題でも指示を変えたりスピードアップしたりすることによって、より楽しく集中して取り組めることを実感しました。
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フラッシュ型教材の活用イメージが広がったところで、高橋純先生(富山大学 人間発達科学部 准教授)による「フラッシュ型教材作成・活用体験演習」に移ります。毎回大好評のこのセッションでは、紙を使ってグループごとに教材作りに挑戦します。高橋先生の進行のもと、まず、問題をひとりひとつ考え、その後グループ全員で発問を考えます。ベテランも若手も一緒になって、グループでひとつの教材を作り上げていく活動を通して、教材作りのコツをつかんでいきます。
      
かけ算九九の教材や、漢字の部首を答えさせるもの、ローマ字を読むものなど、グループごとにいろいろな教材ができあがりました。次に、それを互いに披露しあうことで、たくさんの教材を知ることができます。「そんなアイディアもあったのか」と、他のグループの教材を見て「なるほど」と思えるのも、このワークショップの醍醐味のひとつです。自慢の教材を披露したり、他のグループの教材に取り組む参加者の表情はとても楽しそうで、今回も大盛り上がりのうちに終了しました。
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「対談:フラッシュ型教材ここからはじめる」では、チエル株式会社の三好からフラッシュ型教材を無料でダウンロードできるサイト「e-Teachers」の紹介が行われました。e-Teachersは、無料の会員登録によって、全国の小中学校の先生が作った教材を検索し、ダウンロードすることができます。e-Teachersでダウンロードできる教材について紹介があった後、高橋先生からは、ダウンロードした教材は、コピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えることによってアレンジができるという活用のポイントが示されました。

続く「じっくり模擬授業4実践」では、教科の基礎基本のためのフラッシュ型教材や、食育、小学校英語のためのフラッシュ型教材を活用した模擬授業を体験します。笠原晶子先生(群馬県前橋市立桂萱東小学校)は、『フラッシュ基礎・基本』を使って、漢数字の入った四字熟語を先生の後に続いて読ませます。繰り返し読ませたり列ごとに読ませたりしながら、最後に国語辞典で意味を調べて発表します。また、同じく理科の「消化のはたらき」の教材を使って消化管のはたらきや位置を覚えた後に、先生から出題される「消化のはたらき○×クイズ」で再確認するなど、楽しみながら知識を定着させるための工夫が随所に見られました。
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石井一二三先生(青森県八戸市立根城小学校)は、「食育」でフラッシュ型教材を活用した模擬授業を披露。赤・黄・緑の3つのグループについておさえた後、『フラッシュ食育』を使って赤のグループの食材を覚えていきます。覚えた知識がしっかり身についているかどうかを、グループ分けゲームで確かめます。黒板に貼られた食材のカードを赤・黄・緑にグループ分けすることによって、それぞれのグループにどんな食材が含まれるのかを確認していきます。
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さらに表克昌先生(富山県氷見市立明和小学校)による小学校英語の模擬授業。『フラッシュ英語表現』を使って、“Can you ski?”“Yes、 I can.”という表現を繰り返し練習します。その後、英語ノートの資料を使ってインタビュービンゴゲームに取り組みます。ビンゴシートに書かれているイラストをもとに、相手に“Can you swim?”などと尋ね、相手が“Yes、 I can.”と答えたら○をつけていきます。最終的にたくさんビンゴができた人が“Winner”。夢中になって取り組む参加者の表情はとても楽しそう。フラッシュ型教材で覚えた知識や表現を使ったアクティビティで、確実に知識が身についていくことを身をもって実感した様子でした。
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パネルディスカッションでは、日常的にフラッシュ型教材を活用している先生方からの実践発表が行われました。石井先生は、「フラッシュ型教材は、できたらほめるを繰り返す」「みんなが答えられる問題にする」など、フラッシュ型教材の大事なポイントについて紹介。「子どもたちはゲーム感覚に取り組んでいて、休み時間でも『先生フラッシュやろう』と言ってくるほどです」という話に、会場は聞き入っていました。
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表先生からは、小学校英語の取り組み方についてのご発表。ある調査で、先生方が小学校英語においてもっとも不安に感じているのは「発音」であるという結果をもとに、フラッシュ英語にはネイティブの音声がついているのでその不安がないということを話されました。そして、「教科の授業では、学習指導要領を参照し、教科書、補助教材を用いて授業をするのと同じように、小学校英語でも、学習指導要領、英語ノート、『フラッシュ英語』を使って授業をするのがおすすめです」とのことでした。
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セミナーを締めくくる堀田先生の総括講演では、「プロジェクタや電子黒板、デジタルテレビなどがどんどん導入されているが、大切なのは何を映すかということ。一部の人だけができるものすごい実践ではなく、すべての先生方にとって、日々の授業が少し良くなるようなICT活用でありたい。フラッシュ型教材は、普通の先生の毎日の授業に役立つ教材である」とまとめられました。華々しい実践ではなく、地道に着実に子どもたちに力をつけることが大切なことだという堀田先生のお話に、参加者は終止真剣な表情で聞き入っていました。
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