公開日:2022/12/9

ユーザー・管理者双方に高い利便性 目指すべき教育を実現する基盤として

―福岡県―
令和健康科学大学

福岡県の令和健康科学大学は2022年4月に開学した看護師や理学療法士などを育成するための大学だ。ICT教育に力を入れており、録画映像を使った課題点の発見や、遠隔授業など幅広い講義で情報システムを活用する。その基盤として「ExtraConsole®ID Manager」を導入し、スムーズなID認証を実現している。

ユーザー・管理者双方に高い利便性目指すべき教育を実現する基盤として
令和健康科学大学

令和健康科学大学
〒811-0213
福岡市東区和白丘2丁目1番12号

2022年4月に開学した、健康について科学的に教育・研究することを目的とする4年制の大学。患者や障がい者の治療やリハビリテーションに加えて、健康増進に寄与する医療専門職である看護師、理学療法士、作業療法士を育成する。看護学部看護学科、リハビリテーション学部理学療法学科・作業療法学科の2学部3学科からなる。

全学生にiPadを支給
自主的な学修環境を整備

 令和健康科学大学は、福岡看護専門学校と福岡和白リハビリテーション学院の2校を母体に2022年4月に開学した4年制の大学だ。高度化・多様化する医療および健康長寿社会で活躍できる看護師・理学療法士・作業療法士を育成する。

 同大学の学びの特長の一つに、最先端の医療を担う能力を育むため、ICTやe-ポートフォリオなどの情報システムを広く活用する点が挙げられる。例えば、看護実践の演習を録画し、必要に応じて何度でも振り返ることで、効率的な実践力の修得を目指す。また、全学生にⅰPadを支給し、自主的な学修を支える環境を整備するとともに、感染症の拡大や自然災害にも対応できる万全な遠隔教育体制を構築した。

 こうした情報システムを活用する教育を実践する場合、IDやパスワードが乱立し、学生はもちろん、教職員にとっても管理が煩雑になるのが悩みだ。そこでIDやパスワードを一元管理する認証基盤として同大学が導入したのが「ExtraConsole®ID Manager」だ。

 「ExtraConsole®ID Managerの導入を含め、基本的には私が九州大学で行った認証システム整備と同様のことを令和健康科学大学でも行いました」と振り返るのは顧問の藤村直美氏だ。

 九州大学の名誉教授でもある藤村氏は、認証基盤の構築やPC必携化など九州大学の情報環境の整備全般を推進した人物。2020年4月に令和健康科学大学設置準備室の顧問として参画し、同大学の情報システムの設計や提案、仕様書の作成などに携わった。

 同大学で採用する「IDに十分な強度を持った複数桁の乱数を使う」という仕様も藤村氏が九州大学で実践した取り組みの一つ。大学の認証用IDでは通常、学籍番号やメールアドレスなどを使うことが多い。しかしそれらはいずれも公開情報であり、安全性に問題がある。そこで複数桁の乱数を一人ひとりに割り当てそれをIDにすることで、セキュリティーレベルを向上させるわけだ。

健康を科学的に教育・研究
そのための情報システム

■ExtraConsole®ID Managerを使用した統合ID管理のイメージ
■ExtraConsole®ID Managerを使用した統合ID管理のイメージ

 同大学で情報管理を担当する陣山純一氏は、「一つのIDとパスワードで各システムにアクセスでき、万一パスワードを忘れてしまった際も窓口などに出向く必要もなく、ユーザー自身がスマートフォンで対応できるのでユーザー・管理者双方にとって利便性が高い」とExtraConsole® ID Managerのメリットを語る。

 実際に同大学がExtraConsole® ID Managerで連携するのは現状、学務システムやMicrosoft 365、図書管理や入退室管理など。今後は、Shibbolethを利用し学術認証フェデレーションとのシングルサインオン環境構築も視野に入れる。

 情報システムの構築は、まず実現したい教育・研究や、大学としての目指すべきビジョンがあり、その実現に向けて整備しなければうまくいかないものだ。その点、同大学は、健康について科学的に教育・研究するという明確なビジョンがあり、情報システムの構築はその実現のために他ならない。病院と同等の環境でシミュレーションを実践したり、実技の録画映像を用いた振り返りで学修効果を高めたり、海外の医療機関や大学とオンラインで交流したりすることなどを想定した設計なのだ。

開学の約1年前からMoodleを試験的に運用

 e–ラーニングプラットフォームのMoodleを導入したのも同大学の目指すべきビジョンを実現するためだ。とはいえ、新設校ゆえにMoodleを使った講義の蓄積はない。そこで開学の約1年前から数名の先生方に試験的に使ってもらい、意見交換しながら導入を進めた。実際の講義で使用するMoodleと、テストするためのステージング用の2つを準備し、テストでうまくいった機能だけを講義用システムで提供する体制で稼働させている。 

 カスタマイズはせず、できるだけオープンソースで提供されている状態のものを使い、機能を追加する際には標準提供されているプラグインで対応するというシンプルな使い方も藤村氏の提案によるもの。カリキュラムや教材が蓄積される2~3年後には、本格的にMoodleのメリットが顕在化するだろうと期待を寄せる。

 「大切なのは全ての学生が同じ情報端末を持つこと。効果的なICT教育の実現はそれが前提になる」と藤村氏は考える。iPadを全学生に支給し、認証システムにExtraConsole®ID Managerを据えた同大学の情報基盤は、極めて拡張性が高いと言えそうだ。今後さらにシステムやアプリケーションの充実を図り、専門性を極める最先端の講義を実現していく構えだ。

顧問<br>藤村 直美 氏

顧問
藤村 直美 氏

事務部<br>総務課 情報管理係<br>陣山  純一 氏

事務部
総務課 情報管理係
陣山 純一 氏

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