生徒の主体性を活かした指導

「もう一度、発表してもいいですか!」

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普通科Advanced Course(特進)1年生 (生徒数:10名)

廊下を歩いていると、「こんにちは!」という心地よい挨拶を何度も受けた。
2008年度には中学校も併設される村田女子高等学校で、普通科Advanced Course(特進)の授業を拝見した。

 始業の挨拶が終わると、鈴木先生は、教科書の本文を音読させるために、生徒たちにソフトテレコを起動させた。「アクセントとイントネーションに気を付けて。最初は聞くだけでもいいし、声を出して読める人は、ガンガン読んでください。自分の声は録音してね」と鈴木先生。教材として用意されている音声を聞きながら、それを真似て発する声が教室内にこだまする。10分程度経過したところで、先生の指示が”録音した自分の声を聞くように”と変わった。自分では”言っているつもり”でも正しく発音できていないこと、つまりネイティブのリズムや音と、自分の発音との違いを、客観的に気付かせたいという意図があるのだ。

 生徒たちが音読していたのは、元大リーガー 故 ロベルト・クレメンテ・ウォーカーを題材にした長文だ。鈴木先生は、音読させた長文がタイプアップされているファイルを開くと、今度は、生徒用パソコンに画面転送をした。ディスプレイに大きく映し出されたテキストにアンダーラインを引きながらテンポよく質問をしていく。「”Realizing the situation was getting worse, Roberto made…”のRealizingを、接続詞・主語・動詞の形に直すとどうなりますか?」
 「”made up his mind”を別の言葉で表現すると、どうなる?」先生の問いに次々と呼応するかのように生徒が答えていく。
 「もう一度、発表してもいいですか!」と言いながら手を挙げる生徒の姿も見られた。

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 鈴木先生の指導は、そのポリシーが明確である。例えば、「日本語にじゃまされず、英文を読むことを徹底させたい」という目的から、教科書には日本語を書き込ませない。生徒は予習として、ノートに本文を写してくる。また、分からない単語は、必ず辞書を引かせる。
 「”Roberto’s body was never found.”のbodyの意味は、何だろう?」鈴木先生の問い掛けで一斉に辞書をめくった生徒のなかから「あっ、ロベルトは、亡くなっている…」というつぶやきが聞こえた。「bodyは、死体という意味でも使うけど、この場合は、遺体だよね。どんな日本語を選ぶのかも大事だよ」と、鈴木先生が言葉を掛けた。
 授業の最後は、SMART-HTMLを起動し、生徒一人ひとりの課題に合ったコースウェアを使う学習だ。『Viva! San Francisco』や『英検全問題シリーズ』など、用意されているデジタル教材から、生徒それぞれが選択し学習していると、やがて終礼のチャイムが鳴った。

 「CALL教室を使うのは、生徒主体で授業を進めることができるから」と語る鈴木先生。個人→全体→個人とテンポ良く展開したこの授業には、CALLシステム・デジタル教材、そして辞書が、効果的に活用されていた。

英語科 鈴木 清美先生

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