授業や行事のICT利活用を安定した無線LANで支える

―青森県―
弘前市教育委員会

ICTを利活用した授業の定着はネットワーク環境がカギ――。そうにらんだ弘前市教育委員会が導入したのが、無線通信可視化・安定化ソリューション「Tbridge®」だ。学校間の距離が離れているなど弘前市固有の背景とこれまでの成果を聞いた。

授業や行事のICT利活用を安定した無線LANで支える
弘前市教育委員会

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配備された約9400台をその日から円滑に活用したい

 青森県西部の弘前市は、県内最高峰にして日本百名山の一つの岩木山に抱かれる津軽地方の中心都市で、毎年約200万人が訪れる日本有数のイベント「弘前さくらまつり」でも知られる。市内には32の市立小学校と16の市立中学校があり、約1万人の児童・生徒が通う。

 GIGAスクール構想のスタートに伴い、弘前市では2020年度に約9400台の Chromebook™ を市内の全市立小学校・市立中学校に一斉に配備した。各学校では届いた端末をどのように活用して子供たちの学ぶ力を伸ばすのか議論を重ねた。一人ひとりの理解度に合わせて復習問題などを反復するAI(人工知能)ドリルもその一つ。弘前市は数あるAIドリルの中から4種類を提示し、各校は自らのニーズに合ったソフトを選んだ。

 一方、弘前市教育委員会の視線は少し先を見ていた。複数デバイスによるWi-Fi使用で通信が安定しなかったり、問題が発生した時の原因特定が困難であったりする事態は十分に起こり得る。ICTを利活用した授業を定着させ、盛り上がりつつある1人1台端末を使った「個別最適な学び」「協働的な学び」の機運を維持・向上させるには、ネットワーク環境がカギとにらんでいたのだ。

1校当たりの生徒数が多く
遅延発生リスクが高い中学校

 「せっかく配備した1人1台端末も、無線LANが『遅い』『つながりにくい』『よく切れる』では授業に役立ちません。約9400台が配備されたその日から円滑に活用できるように、安定したネットワーク環境を構築しておきたかったのです」(弘前市教育委員会 学校整備課 主幹兼 企画係長の小山内太啓氏)

 弘前市がネットワーク環境対策で特に意識したのが中学校だ。全学年でも多様な活用が想定される中学校は1校当たりの生徒数が多く、Chromebook を使った授業が集中すると遅延が発生するリスクが高い。さらに、学校間の距離が離れているため、ひとたび複数校で無線LANトラブルが発生すると、教育委員会を始めとした担当者の移動時間も含めて対応に手間取ることが予想された。

 そこで弘前市が導入したのが「Tbridge®」だ。Tbridge®は安定的な無線LANの運用管理を可能にする最適化ソリューションで、ネットワーク上に設置・動作することにより無線LANに関するトラブルを自動的に解決する。

 「ネットワークの遅延やつながりにくさの解消には追加工事で回線を太くする方法があります。しかし、学校の学びは日々の積み重ねであり、長い時間ネットワークを止めることはできません。『Tbridge®』を導入してネットワーク環境の安定を実現したという他の自治体での実績も導入の決め手の一つでした」(小山内氏)

先生や児童・生徒にとって学校生活に不可欠なインフラ

 Tbridge®は、一般的な通信プロトコルであるTCP特有の挙動によるネットワークの不安定化・通信速度低下の原因を把握し、ロスやディレイを改善。トラフィック分析などを自動で繰り返し実行して安定化を実現する。小山内氏によると、弘前市ではTbridge®を導入して2年以上経つが、学校現場からネットワーク環境について教育委員会に問い合わせがきたことは一度もないという。

 「実は、各校にはネットワーク上にTbridge®を接続していることは知らせていません。新型コロナウイルス感染拡大時の運動会では、校庭での密集を避けるため、競技がない児童は各教室でモニターを見ながら応援しました。すべての教室で一斉に映像配信しましたが、無線LANは安定していました。私自身は、Tbridge®が通信混雑を〝交通整理〟し、トラフィックを改善してくれたおかげと考えています」(小山内氏)。GIGAスクール環境では、日々の学びはもちろん、子供たちの思い出づくりや心の成長にもインターネット通信の安定は欠かせないと言えるだろう。

 現在、市内の多くの学校では、児童・生徒の出欠席をオンライン上の特定フォームで管理・運営するなど校務のデジタル化を進めている。授業では Google Classroom を使いアンケートを実施して話し合いの活性化を図るなど、1人1台端末の利活用で学びを深めるノウハウも蓄積されてきた。4校に1人の割合で配置されている外部のICT支援員が、授業準備や校内研修をサポートする体制も定着しつつある。

 先生や児童・生徒にとって、1人1台端末は学校生活を送る上で今後ますます不可欠なインフラになっていくだろう。弘前市教育委員会はTbridge®とともに、これからも学校現場に快適なネットワーク環境を提供していく。

Tbridgeの導入イメージ図

*Chromebook は、Google LLC の商標です。

学校整備課<br>主幹兼 企画係長<br>小山内 太啓 氏

学校整備課
主幹兼 企画係長
小山内 太啓 氏

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