教育委員会と学校との好連携により、ICT機器とコンテンツの有効活用を促進
津市では「学校ICT環境整備事業」により、普通教室すべてに大型テレビを配備し、全教員に対してはパソコンの整備がなされている。そして、市内33校には『小学校のフラッシュ英単語/英語表現』、『小学校のフラッシュ基礎・基本』『小学校のフラッシュ算数』が導入された。今回は津市教育委員会での取り組みを伺い、導入されたうちの2校にて、実際の活用授業を参観させていただいた。
津市教育委員会事務局 教育研究支援課
フラッシュ型教材を33校の小学校に導入
津市では33校の小学校にフラッシュ型教材『小学校のフラッシュ英単語/英語表現』『小学校のフラッシュ算数』『小学校のフラッシュ基礎・基本』が導入されており、今後もパソコン教室のリプレイスに合わせて、各校で導入の検討をしていただいている。いずれも学校現場の要望により必要な学校に必要なコンテンツを導入しているという。
ICT機器は、普通教室すべてに大型テレビと、全教員に対してパソコンの整備がなされている。
フラッシュ型教材導入のいきさつは、鵜飼先生、堀内先生が自ら、実際にフラッシュ型教材ダウンロードサイト「eTeachers」の教材コンテンツと製品版のフラッシュ型教材をご活用いただき、それぞれの教育効果をご理解いただいた上で、現場の先生方にご紹介いただいたもの。
子どもたちは、安心感をもって取り組んでいる
今回、特に感じたのは、教育委員会としての導入に対する支援はもちろんのこと、日ごろの利活用に重点をおいた支援体制のすばらしさ。全導入業者による導入校別の研修会の実施と、全地域対象の活用研修会の実施を定期的に行っている。
堀内先生は、研修会で紹介する際に、フラッシュ型教材が、子どもたちから見ると、どう見えているかを意識して先生方に伝えているという。
「教員側の興味はどうしても、使い方や学習効果に集中しますが、子どもたちはフラッシュ型教材を使う時は『安心感』をもって取り組んでいるということを話します。小テストのように評価されることを意識することもなく、純粋に楽しみながら取り組んでいると。また、答えも自分で確認しながら学習できるので、安心して取り組んでいるんじゃないかと思います」
また、鵜飼先生は、「出題するコンテンツのレベル設定を意識した取り組みをしている学校もあります。問題を提示する際、先生の望むレベルの70%くらいの難易度のコンテンツがベストのようです。100%だとほとんどの子どもたちにやる気がなくなるし、50%ではすぐに理解できる子どもが飽きてしまう。できる問題、できない問題があるほうが効果的な取り組みになるようです」と話してくれた。
多くのノウハウが教育委員会に集まり、それをまた教育委員会が間を取りもって学校現場にフィードバックできている証と言える。
教育委員会の先生方と学校の先生方の情熱と情報の連携が、導入した機器やフラッシュ型教材をはじめとしたコンテンツの利活用をうまく促進している要因になっているに違いない。
津市立北立誠小学校
朝の会『北立誠タイム』で、英語活動を全校で実施
北立誠小学校では、朝の会を『北立誠タイム』と名付けて1年生から6年生まで全校で英語活動に積極的に取り組んでいる。毎日行うことによって、英語でのコミュニケーション力をつけていこうというねらいがある。
その中で、5年2組の仲仁司先生のクラスでは、フラッシュ型教材を活用して英語活動を行っていると伺い、さっそく訪問すると…。
”Good Morning”23名の元気な声が教室に響きわたる。『小学校のフラッシュ英語表現』を使った朝の会が始まった。
”What subject do you like?” ― “I like Japanese.”、”What subject do you like?” ― “I like P.E.”…ネイティブ・スピーカーの音声を聞いて、まねて発音するスタイルだ。何度か繰り返しているうちに、子どもたちの声も大きくなり、発音も見違えるほどそっくりになっていく。
「このフラッシュ型教材の効果は、顔を上げて、耳を澄まし、画面を見ることによって集中力が増すこと、ひいてはクラス全体が明るくなることだと思います。また、反復して取り組むことによって、知識の定着が図れると感じています」
仲先生は、フラッシュ型教材を使う以前から、ICT機器を積極的に活用していたという。
「昨年度、教室に大型テレビが設置されました。ICT機器を使う良さは、効率的に授業ができるところです。教員が大きな紙を切ったり貼ったりして手間をかけることも必要ですが、長続きしません。市販のコンテンツを使ったほうがよい場合も数多くあります。『小学校のフラッシュ英語表現』は、大型テレビを利用することができて、ネイティブ・スピーカーの音声も付いていて、とにかく子どもたちが引き付けられる教材ということで、飛びついたところもあります」
生きいきとした子供たちの表情が印象的!
「先生! 今度は2秒にして!」という声があがり、大いに盛り上がったところで、約10分の『北立誠タイム』は終了。
朝から熱中し、子どもたちの生きいきとした表情がとても印象的だった。
津市立神戸小学校
『Can doタイム』で、算数の基礎学力を増強
引き続き、近隣の津市立神戸小学校に伺った。神戸小学校では、算数の基礎学力をつけることを目的に『Can doタイム』という取り組みを行っている。
6年2組の上出哲也先生の算数の授業に伺った。
「『Can doタイム』では、『できたらうれしい』をテーマに取り組んでいるので、復習問題を中心に出題しています」と話され、授業を始められた。
題材は、『小学校のフラッシュ基礎・基本』と、フラッシュ型教材ダウンロードサイト「eTeachers」からダウンロードした教材の両方のコンテンツ。はじめは、いま学習している「比」のコンテンツから。その後に、「面積の公式」や「分数のかけ算」「四捨五入」と、これまでの復習を中心にコンテンツを提示していった。
上出先生のフラッシュ型教材の提示は、テンポよく答えさせていくパターンと、時には止めてじっくり解説していくパターンがあるようだ。
「子どもたちの反応を見ながら、必要だなと思った時は、一度止めて教えています。その場ですぐに教えることができるのがいいですね」
その様子を目にして、まさに「ライブ感を大事にした授業」を印象づけられた。
「『Can doタイム』は元々、ペーパー・ドリル問題を解くことを中心とした時間でした。授業のはじめに、フラッシュ型教材を5分程度使うようになって、子どもたちの集中力が高まったように感じています」
フラッシュ型教材の5分間が終わると、自作のペーパー問題の時間。タイムを計りながら約200問の計算問題をみんなで解いていく。5分後には先生も参加して、クラスのみんなとタイムを競う。中には4分台で終わってしまう子どももいるほど、みんな集中して取り組んでいた。
フラッシュ型教材を活用して、より効果的な学習に
最後に、上出先生は、「このペーパー問題での集中力もフラッシュ型教材の影響力が大きいと思います。とにかくフラッシュ型教材の良さは、ずばり『大きく提示できて』『簡単・手軽』『繰り返し取り組める』という点にあると実感しています。子どもたちが集中してくれるので、惹きつけやすくなりました」と話してくれた。
紙での取り組みを、すべてデジタル教材に移行するのではなく、5分程度のフラッシュ教材の時間を組み入れることによって、今までの紙だけの取り組みより、さらに集中させる効果を生み出していることを目の当たりにして、まさにフラッシュ型教材の効力を肌で感じた思いがした。