CHIeruとは?– Possibility of CHIeru in the future —

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 チエル設立から半年。チエルとは何のための会社か?学校教育に対してチエルができることとは?  改めて原点に立ち返る時期を迎え、「思い」を具体的な形にすべく、互いの胸中を語った。そこで企業と教育機関という全く違う世界に身を置いてきた二人が、新たな取り組み「フラッシュ型教材の開発」に意を決し、手を取り合うこととなった。

独立行政法人メディア教育開発センター 研究開発部 助教授
堀田 龍也 先生
  ×     
チエル 株式会社 代表取締役社長
川居 睦

理想の授業ができるための一つの手段になりたい

教育に特化した会社『CHIeru』とは

堀田
チエルという言葉は、辞書に載っていませんよね。これはどういう意味を、どういう気持ちを込めて名づけたのですか?また会社設立の経緯も聞かせていただけますか?

川居
「チエル」というのは、『知識を得る』という意味の社名です。私は1993年にアルプスシステムインテグレーションに入社し、学校現場で利用できる画像転送システムを扱い、2002年からは、教材を制作する旺文社デジタルインスティテュートの代表も務めてきました。 ところが、学校に行っても導入していただいたシステムが使われていない、自社ソフトが鍵のかかったロッカーに入っている。こんなに悲しいことはありません。「いったい何のための会社なのだろう」と思うようになりましてね。それで、利活用を推進するためには、システムと教材というのは一緒に企画するべきだと思い、チエルを設立するに至りました。

堀田
たしかに利活用するという点から考えますと、システムと教材というものは切り離せない関係かもしれませんね。今後どのような考えを持って、先生方に提案していこうと考えていらっしゃいますか?

川居
 私たちがシステムと教材にいくら磨きをかけても、実際に使っていただくのは先生方です。先生方がどんな授業をしたいと思っているのかを知り、それに沿ったものを提供できなければ活用していただけません。そのためにも、できるだけ多くの先生にお話を伺うことが大事だと思っています。

堀田
その通りですね。学校現場で求められているものを提供できなければ意味がありませんから、先生との関係作りというのは大切なことだと思います。先生の悩みを聞くことで、その小さなアイデアから商品が生まれることもありますからね。

川居
はい、私たちはたとえ小さなアイデアでも、先生方の声を一つひとつ拾えるように努力しています。 つまり、チエルは先生方にとって理想の授業ができるための”一つの手段”になれたらいいなと思っているのです。私たち自身では授業はできません。しかし、支えたい。子どもたちの未来を創りたいのです。”子どもたちに、私どもの商品・サービスを通じて、夢を持ってもらいたい”という思いがあります。

日本のICT教育が 遅れをとってしまわないために

堀田
チエルができたのは06年の10月1日。この頃はどちらかと言うと、これまで努力してきた企業が文教市場に対して危惧を感じていた時期でした。その時に新しい会社を作るというのは、大いなる決断があったかと思いますが、そこまでして、新たに教育に特化した会社を作ろうと考えたのはなぜですか?

川居
おっしゃる通りです。実は多くの方から言われました。「なんでこんな時期に?」と(笑)。しかし、学校教育というのはなくならないのです。チエルは60名の小さな会社です。本気で教育市場だけに絞った会社があってもいいのではないかと、敢えて設立を思い立ったわけです。 そうしないと、日本のICT教育というものがどんどん他国に遅れをとってしまいます。最終的に企業の目的というのは社会貢献ですから、そういった意味でも、チエルは学校教育という市場に絞ることにしました。

堀田
かなり思い切った選択をされたわけですね。私が一緒にやっているのは、そういう意味でとても貴重な企業だからということがあるのです。海外に行くと、学校の門に、パートナー企業の名前が書いてあることがあります。学校と企業との連携を意味しているわけで、学校教育における何らかの共通の目的を持って子どもたちのために協力し合っていることがわかります。しかし日本では、企業が学校現場と手をつなぐというのはそう簡単なことではありません。 川居さんは昔から、いくつかの製品を産学連携という形で打ち出してきましたよね。研究者の僕を通して、現場の先生と力を合わせて共同開発をしてきました。そうやって少しずつパートナーシップを築いてきたわけですね。

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