神奈川県立白山高等学校での「県内高校外国語科教員対象春季CALL研修会」開催報告
2011年3月25日(金)、神奈川県立白山高等学校にて『高校外国語科教員対象CALL研修会』が、県内の先生方12名参加のもと、2つの実践報告が行われ、プログラムが実施された。
■実践報告
テーマ「初心者がまずは使ってみたCALL」
神奈川県立白山高等学校 教諭 畑瀬 敏樹 先生
スタートは、初心者ながらもCALLを有効活用するために試行錯誤しながら問題を解決していく畑瀬先生の体験談。CALLを使うようになるまでにぶつかった問題、日を追うごとに出来ることを増やしていかれた様子を具体的にお話された。Word等で作成された資料を電子黒板とセンターモニタに映しだし、更には書画カメラを駆使して解説されるなど、授業でも効果的に活かせることを披露していただいた。
当時は初めての学校、担任、生徒指導に「オーラルコミュニケーションI」の科目と、何もかもが初めてだったと振り返る畑瀬先生。生徒といえば、1年生は未だPCの操作を習得中で、生徒の英語力もつかめないという状況だった。一方、CALLを授業に取り入れるよう言われているものの、どう使っていいのかもわからず不安ばかりが募る。しかし、2コマ続きの授業では時間的に余裕があり、また学校で選定された教材にはCD-ROMが付いていたため、何とか活用する必要があると思い、思い切ってCALLの活用に踏み切ったところ、意外にも「これならだれにも使える」というのが正直な感想だったそうだ。
更に一歩進んで生徒と共に音声録音にも挑戦し、成功するなど、次第にCALLを取り入れた授業に馴染んでいく。生徒も新しいことに興味津々、録音された自分の声を聞きながら一生懸命練習してくれる。現在、畑瀬先生は基本操作を習得し、周囲にもCALL活用の場を広げようとする意欲で溢れていらっしゃった。
参加されたほとんどの先生方が「CALLを導入しているが活用方法がわからない」、「これから導入することになっているが何ができるのかわからない」といった不安を抱かれていたが、わからないながらも「まずは、使ってみよう」という畑瀬先生の前向きな取り組みに励まされ、さらには初心者の立場から実際に体験された苦労話には大きなうなずきが見られた。
■CALL活用法ご紹介
「ペアで翻訳にチャレンジ!」
チエル担当者
CALLで最も使われる機能の一つであり、語学学習には欠かせない「ペアワーク」の体験セッション。チエルの担当者が先生役となり、先生方に生徒として参加していただくこのセッションは、4コマ漫画をセンターモニタに映し、チャット機能を併用しながらその訳をペアで考え、後でモデルとして発表していただくもの。チャットは先生方から「どう授業で使ったらよいかわからない」と質問を受けることが多く、活用法の一つとしてご紹介したいと企画された。
ランダムにペアを組み、遠く離れた先生と自己紹介をした後、協力して4コマ漫画の訳を考える。CALLをほとんど知らないといった先生方ばかりだったので、より実践的に「生徒」役を楽しんでいただき、制限時間が過ぎたことにも気付かないほど大いに盛り上がっていた。「楽しいね」「ぜひ生徒にもやらせたい」という声があちこちで聞かれ、「ペアワーク」も容易に行えることを体験できて、CALLが難しいという思いはすっかり取り払えたようだった。
実践報告
テーマ「毎日使って得するCALL教室」
神奈川県立相模原青陵高等学校 教諭 柳谷 孝一 先生
CALLシステムをフル活用して、生徒に「聞く、話す、書く」タスクを与えるといった活動重視の授業を実現されているパワフルな柳谷先生の授業紹介。電子黒板を組み合わせて使うことによって英語4技能を全てCALL教室で実施されている。板書に書く時間などの「無駄」を最低限に抑え、生徒が活動することが中心の授業。その様子は映像で紹介され、活発で生徒全員が生きいきとしているようすが伺えた。
CALLを活用するために一般教室で行っていた指導方法を変える必要性もあった。例えばリーディングでは、テキストを単に訳出させる指導をやめ、スラッシュリーディングに変えたことなどだ。スラッシュごとに区切った英語音声/日本語音声を先生がマイク録音して録音ファイルを作成し、生徒に配布する。生徒はこれを聞いて、スラッシュごとに英→日/日→英の訳をする。この音声ファイルで練習することで結果的に逐次通訳の訓練になり、より実践的な英語力を養成することができたという。熱心な生徒はメモリースティックやCD-Rを持ってきて、録音ファイルを持ち帰ってまで学習するなど、勢いは止まらない。教材の音声ファイルの作成やファイルの配布、これら全てをCALLシステムで、簡単に短時間でできてしまうことに、参加された先生方にはまさに目から鱗のようであった。
参加された先生方は、疑似体験をはじめ、様々な活用事例を伺って、「自分にもCALLシステムを使えそうだ」、「使えば授業がもっと面白くなりそうだ」と、明日からのCALL活用に前向きな感想を寄せられ、研修会は盛況のうちに終了した。