公開日:2011/11/30
外国語教育メディア学会(LET)関東支部研究大会
2011年11月12日(土)、外国語教育メディア学会(LET)関東支部の第127回研究大会が拓殖大学・文京キャンパスにて行われた。
前日の雨模様とはうってかわって、小春日和の暖かい日差しに包まれる中、多くの方々が参加された。
研究大会の会場では、研究発表・実践報告・ワークショップ・講演・対談が各教室に分かれて行われた。展示ブースではチエルを含め、約10社によるe-Learning教材や書籍、デジタル機器、システムの展示がなされた。
研究発表・実践報告から
函館工業高等専門学校の臼田悦之先生と株式会社VERSION2の大西昭夫社長による「モバイル環境を利用したGlexa Mobile Systemの可能性―英語の自学自習、授業の課題提出およびテストへの活用―」と題された研究発表・実践報告がなされた。
株式会社VERSION2が開発した『Glexa』とは、動画や音声を使った疑似体験型教材を作成できるPC用のe-Learningシステムである。単に画面上の問題に答えるだけでなく、回答を録音してそのまま提出できるような教材も作成することが可能だ。Glexa Mobile Systemとは、『Glexa』の機能を携帯端末機器に対応するようカスタマイズしたもので、クイズの問題形式(選択問題や記述問題)に加えて、携帯電話で再生・録音した音声を使ったリスニング教材の公開や提出ができる。実際の使用方法や生徒が録音・提出した音声データの紹介など、授業実践として取り入れた経過の報告と考察が行われた。
携帯電話の各機種による機能の違いをどう統一させるかということや、スマートフォンへの対応などの課題も残るものの、講演後の質疑応答にて「クラウド上にサーバはあるのか」「タブレット端末の対応はしているのか」などといった質問が多く寄せられる光景から、モバイル機器を利用したシステムに対してさらなる期待が高まったように感じた。
「生身の人対人とのコミュニケーションを補うツールです」という臼田先生の最後の締めくくりの言葉が、とても印象的であった。
展示ブースの様子
チエルの展示ブースでは、クラウド型教材配信サービス「CHIeru.net」対応教材の『スーパー英語 Academic Express 2』『旺文社・英検CAT』を展示した。主に高校・大学の先生方にブースに立ち寄っていただき、『スーパー英語 Academic Express 2』といったコンテンツなど、教材の中身を実際にご覧いただいた。
e-Learning教材について、「どれくらい実力がつくのか」「自学自習というスタイルは、生徒のモチベーションを維持させることが難しいのではないか」といった不安を持っている先生もいらっしゃるようで、実際に、過去にe-Learning教材を使ったがうまくいかず、活用をやめてしまったという話も耳にすることがある。
『スーパー英語 Academic Express 2』は、TOEIC?テスト・TOEFL?テストの形式を含む模擬テストやリスニング、リーディングなど500時間以上のトレーニング教材を搭載しており、グラフや表で色鮮やかに表示されたポートフォリオ機能も充実している。
「きちんと取り組まないと【修得済】のマークはなかなか付かないんだなー。生徒にじっくり考えさせることができますね」「ディクテーションのドリルはゲーム感覚でできるんですね」と、思わずディスプレイ画面に近づいていく先生方の姿に、当方からの説明にもさらに力が入る。
また、チエルのCALLシステムを使っていただいている先生方にもお越しいただき、「先日、授業の中でCALLをこのように使ってみましたよ」「他校ではどのように活用されているのでしょうか」「ここがあまり上手くいかなくて…」など、活用法や操作方法に関するお問い合わせが寄せられ、授業でのCALL活用事例がまとめられた冊子『Using CALL Case Studies 2』をお渡しさせていただいた。CALLシステムをご利用いただいている現場の声を聞くことができる有意義な機会であった。
同じ展示会場内では、先ほどご紹介した株式会社VERSION2のブースもあり、大きなモニター画面で『Glexa』の説明が行われ、実践報告を聞いた先生方であふれていた。大西社長より「モバイル機器での対応が進めば、先生も学生もいつでもどこでも利用することができます。先日、臼田先生と食事へ出かけた時、料理を待っている間に、学生からの提出データがちょうど送られてきて、即座に確認・成績評価を付けるという場面があったんです」というエピソードをお聞きした。「『Glexa』は操作性が良く、管理画面が見やすいですね」という声も多く聞かれ、とても賑わっていた。
今回の研究大会では、さまざまなメディアを使いながら語学教育の在り方を問いかけていることはもちろんのことだが、多くの参加者が「クラウドサービス」への興味・関心が高いことが伺えた。研究発表や展示ブースでの質問において、たびたび「クラウド」という言葉が飛び交っていた。
「いつでもどこでも学習できる」というデジタルの特長をさらに生かすべく、クラウドも含めたシステムや教材の開発に情熱を注ぎ、チエルはこれからも挑戦し続けていきたい。
<出展製品>
・CHIeru.net対応教材『スーパー英語 Academic Express 2』
・CHIeru.net対応教材『旺文社・英検CAT』
<参考製品>
・e-Learningシステム『Glexa』