公開日:2024/4/23
英語スピーチ&スキットコンテストはセリフの発音もナチュラルに
―東京都―
東京都立五日市高等学校
東京都立五日市高等学校では、3年間の英語学習の仕上げとして、3年生の各クラス代表による「英語スピーチ&スキットコンテスト」を開催している。2023年12月の発表を見た審査員からは、日頃の授業の積み重ねとともに、語学学習支援システム『CaLabo®MX』を使った反復練習の成果を評価する意見があった。英語教育と『CaLabo®MX』が引き出す可能性を3回に分けて紹介する連載企画。最終回は、コンテストの様子と今後の学習方針を紹介する。
東京都立五日市高等学校
〒190-0164 東京都あきる野市五日市894番地
創立76年。教育ビジョンに「地域貢献」「能力伸長」「人格形成」「未来創造」を掲げ、広い視野を持ちながら新しい社会に対応できる生徒、地域を愛し地域から愛される生徒の育成を目指す。特色あるカリキュラムとして、2年生からマネジメント・アウトドア・アドバンスの3コースに分かれ、生徒の興味関心や希望する進路に応じた教育を行う。
スピーチとスキットの2部門
「Quiet, please. May I have your attention, please? Ladies and gentlemen, teachers and students, welcome to the 3rd year English Speech & Skit Performance Contest.」
穏やかな冬晴れの2023年12月21日、東京都立五日市高等学校では3年生の各クラス代表による「英語スピーチ&スキットコンテスト」が開催された。生徒の司会進行のほか、大学教員およびALT(外国語指導助手)やJET(語学指導等を行う外国人青年招致事業により派遣された教員)の計4名の審査員の講評などもすべて英語だ。1人2分のスピーチ部門には4名、1グループ3分のスキット(寸劇)部門には6グループが参加。授業や語学学習支援システム『CaLabo®MX』で練習してきた成果を、体育館に集まった全校生徒や先生方に披露した。
「昨年は地域の課題解決のための観光プランをグループで発表するプレゼンテーション部門だけでしたが、今回は英語で感情豊かに表現する力も身に付けてほしいとスキット部門を新設しました。寸劇のシナリオは1年間かけて学んだ日常に使う英語を題材に、生徒が自分たちで考えました。本番前の中間発表を11月に2回、12月に1回行い、感情を込めて英語を発音することなどを指導してきました」(英語科主任教諭の中村俊佑先生)。
最初の女子生徒2人組は「Breakfast」というタイトルで、朝食のパンをめぐる母子のやり取りをコミカルに演じた。一人が舞台に寝転んだり、声を張り上げたりするグループもあった。学校の英語のスピーチコンテストは発表者が一方的に話して終わりがちだが、この日は聴衆の生徒や先生から笑い声が聞こえ、それを受けた舞台上の生徒は一層大きなジェスチャーを交えて演じるなど、一体感が生まれ、会場は温かい雰囲気に包まれていた。
『CaLabo®MX』で練習を重ねる
3年前からコンテストの審査員を務める東京経済大学 全学共通教育センター 特任講師の小林ゆみ先生は「スキットでは、英語をただ『読み上げる』のではなく、英語を使って『演じて』いました。以前は『見る』という表現ではlookばかり使っていましたが、登場人物の気持ちや場面によってはwatchやseeを用いるなど言葉の選び方も適切になっていました。発音もナチュラルで、スピーチ、スキットとも安心して見ていられました」と評価する。
同じく審査にあたった慶應義塾大学 非常勤講師の吉原学先生も、3分間のスキットのセリフをすべて暗記して英語で堂々と演じた生徒を称えた。
「人間は24時間経過すると覚えたことの約70%を忘れると言われています。一方、何度も復習すれば習った内容の定着率を高めることは可能です。スキットのセリフの構文は整理されており、息継ぎのタイミングもスムーズでした。私は、これまで五日市高等学校の英語力を高める取り組みを支援してきましたが、『CaLabo®MX』には生徒が作成したオリジナルの英文を音声ファイル化する機能があり、セリフのシャドーイングの学習により、練習を重ねたのだと思われます」(吉原先生)
英語学習の輪を全校に広げる
『CaLabo®MX』は「聞く・話す・読む・書く」を学習するために最適なさまざまなアクティビティを搭載している。ノートパソコンやスマートフォンなど持ち運び可能な端末を利用するMALL型なので、アクティブラーニングやオンライン授業といったICT学習はもちろん、CALL教室内でのPCによる授業など環境を問わない。自動採点機能では、登録したスクリプトと録音した音声をAI(人工知能)が照合し、自動採点する。これにより、生徒は校内でも自宅でも、スクリプトの作成、登録、録音から採点、間違った箇所の理解・練習まで一人でできる。五日市高等学校は2022年7月に1~2年生の一部応用クラスにプレ導入。2023年4月から本格導入した。
英語は、学習科目と同時にコミュニケーションツールでもある。学んだ英語が自分以外の人に「伝わった」経験は、積極性を育むなど人間的な成長にもつながるだろう。ただし、中村先生など英語担当の先生やALTおよびJETの先生は、他の生徒の指導などもあり、常に一対一で指導できるわけではない。その点、『CaLabo®MX』に先生方のメールアドレスを一括登録しておけば、生徒が提出した音源ファイルを手の空いている先生がチェックできる。生徒も先生も、自分のペースで英語の学習や指導を実践しやすいと言えるだろう。
「当校の英語教員は、私のほか、ALTやJETの先生も合わせると8名います。2024年度以降は、『CaLabo®MX』をより活用した授業を行えるように教員向けの研修会も充実させていきたいと考えています。『CaLabo®MX』をきっかけに英語学習の輪を全校規模に広げていきたいですね」(中村先生)
スピーチ&スキットコンテストが終わり、登壇した生徒一人ひとりのやりきった笑顔からは、自分の英語力は着実に向上しているという自信の芽生えがうかがえた。『CaLabo®MX』を使った中村先生の英語学習改革はこれからも続く。
主任教諭(英語科)
中村 俊佑 先生
※ご紹介させていただいた所属・役職は2024年3月1日現在のものです