公開日:2025/4/23
人生を切り拓くデジタルスキルの基盤となるのは「情報教育」
学校訪問「情報教育環境を整備し、学生のデジタルスキル向上を支える」
―大阪府―
大阪電気通信大学
メディアコミュニケーションセンター
大阪電気通信大学のメディアコミュニケーションセンター(MC2)は、学内システムの保守管理のほか、新入生のコンピュータリテラシー教育も実施。教育内容には、スキルだけでなく、モラルやマインドも含まれている。
同大学が強調する「デジタルスキル」に欠かせない「情報教育」とは何か。


大阪電気通信大学
メディアコミュニケーションセンター
(寝屋川キャンパス)
〒572-8530
大阪府寝屋川市初町18-8
1961年に創設。「ICT×専門教育」「異分野交流」「ものづくり」をキーワードに、不透明な時代を生き抜く人材の育成を目指している。
格差のある「デジタルスキル」を一定レベルまで引き上げる
大阪電気通信大学は、学生が「人間力」と「技術力」を兼ね備えた人材として成長することを目指し、情報技術を基にした学部展開を行っている。情報技術を基にしている同大学において、情報基盤整備・保守ならびに学生の基礎的な情報リテラシーの習得を一手に引き受けているのがメディアコミュニケーションセンター(以下MC2)だ。MC2は2008年に演習室を中心に教育向けの環境整備をしていた情報処理教育センターと、研究向けの環境整備をしていた情報科学センターが統合して設立された。

「各所に点在していた情報システム部門を統合するだけでなく、情報教育をも重視するようになり、それを全学で統一してやっていこうというところからMC2は始まりました。さらに近年では新入生のコンピュータリテラシーの向上に努めています」(西木毅氏)
「本学は現在、『デジタルスキルで人生を切り拓け』をテーマにしており、MC2としてもそれに調和した取り組みが求められています。情報教育の専門家として、格差のある学生の『デジタルスキル』を一定レベルまで引き上げるのが、私たちの使命であると考えています」(石塚丈晴教授)
学修を支える基盤整備とリテラシー
大阪電気通信大学では汎用のクラウドツールである、MicrosoftとGoogle を両方使えるようにしている他、Google ドライブ™ については、卒業後も本人のポートフォリオが消えないよう、容量を制限しながらではあるが、利用できるようにしているという。こうした基盤整備の他、Moodle(LMS)の使用方法や、キーボードのタイピング練習などといった基礎的なことも、各学生のスキルに応じて教えているそうだ。コンピュータリテラシーについては情報モラルに関する学習も行っているという。「今の学生はSNS世代なので、意図しないトラブルに巻き込まれないように注意しています。そのためSNSでの炎上事案がどのように発生するかについてや、著作権についてなど、情報モラルに関する学習も行います」(石塚教授)
また、学内で使用する学習基盤の安全な運用のため、新規に導入する機材、アプリ、ツール等はMC2の教員と職員が検証し、評価してから学内に展開しているようにしている。「MC2には専任で教育系の専門家と技術系の専門家が両方揃っていて、密にコミュニケーションを取りながら環境整備を行っていることは私学ではめずらしい特長だと考えています」(石塚教授)
それぞれのニーズに合わせて各学科と連携
大阪電気通信大学では、多くの学部・学科においてプログラミングの授業が必修となっており、学部横断で同一のシラバスを用いている。一方、各学科における専門領域によって活用しやすいコンピュータ言語が異なるため、言語については学科ごとに選定している。当然、C言語やPythonなどの言語はそれぞれ特徴があるため、「どのようなことに長けているか」「どこが課題になりやすいか」等を説明したうえで、「将来を見据えるとどの言語が必要か」をヒアリングしながら、学習言語を決定していくという。同大学ではプログラミングの経験がありむしろ得意な学生と、一部の学部で文系型の入試も行っていることから未経験の学生が混ざった状態で授業を進めなければならない場合もある。そのような時でもそれぞれの学生に寄り添った授業となるようにしっかりとした配慮も行っており、未経験の学生を丁寧にフォローするだけではなく、得意な学生には発展的な課題を与える等個別最適な学びを提供している。
学生のやる気を引き出し育てるのが大学の使命

「今の世の中は、卒業後にどの分野の職業を目指すとしても、デジタルスキルがないと何もできません。MC2の役割は学生たちが『デジタルスキル』をしっかりと身に付けて、やりたいことを見つけ、それを引き出してあげることだと考えています」(石塚教授)
大阪電気通信大学には教育学部は設置されていないものの、私立大学には珍しく中学校の「技術科」の教員免許資格を習得することも可能だ。「もちろんただ資格取得だけが目的にならないよう、希望する学生たちと面談を行ったり、テストを実施したりして、教員になりたいという強い意志があるのかを確認するようにしています。本学の特徴として、学生がやりたいことを先生や職員たちが支援するカルチャーがあります。学生にはMC2の基盤や講義を生かし、さまざまな情報収集を行い、各分野で羽ばたいてほしいと思っています」(石塚教授)
※Google ドライブはGoogle LLC の商標です。

メディアコミュニケーション
センター長 博士(情報学)
石塚 丈晴 教授

メディアコミュニケーション
センター事務室長
西木 毅 氏