認証基盤を全学で統合し、運用を「自動化」。 顔の見える」パートナーと築く、大学の情報基盤

―愛知県―
愛知大学

数千人規模のアカウントを、限られた時間で確実に発行する―。大学の情報システムを預かる現場にとって、認証基盤の使い勝手は日々の業務を大きく左右する。愛知大学では、認証基盤『ExtraConsole®︎シリーズ』を全学的な認証統合の軸に据え、Microsoft 365との連携やプロビジョニングの自動化を進めてきた。あわせて、CALLシステム、そしてMoodleの運用もチエルグループが支える。認証・CALL・学習管理システム(LMS)という複数の領域を一社グループで担う強みと、その先に描くデータ活用の構想を、同大学情報システム課のお二人に詳しく伺った。

愛知大学(名古屋キャンパス)

愛知大学(名古屋キャンパス)
〒453-8777
愛知県名古屋市中村区平池町4-60-6

1946年に設立された伝統ある私立大学。上海の「東亜同文書院」をルーツに持ち、高い語学力と国際性を備えた人材を育成。近年は「地域連携」を軸とした現場主義の学びや、全学的なデータサイエンス教育など、時代に即した先進的な教育を展開している。

複数キャンパス・多数のシステムを束ねる、情報システム課の役割

 複数のキャンパスに多くの学部・学生を抱える総合大学である愛知大学において、学生・教職員が日々利用するシステムはMicrosoft 365 などのクラウドサービスをはじめ、印刷システム、学習管理システム(LMS)など多岐にわたる。これらを安全に、かつ滞りなく動かし続けることが情報システム課に課せられた使命だ。

 規模が大きく歴史がある組織ほどシステムは増え、構成は複雑化していく。利用者にとっては「使えて当然」のインフラだからこそ、その裏側を支える運用の負担は見えにくい。愛知大学が認証基盤やLMSの整備に長く力を注いできた背景には、こうした現場のリアルがある。

全学の認証を一つに── 10年以上連れ添うExtraConsole

 愛知大学が統合ID管理システム『ExtraConsole®︎ ID Manager(以下、ECIDM)』を導入してから、すでに10年以上が経つ。その背景には、システム全体を統合的に管理したいという明確な意図があった。

 採用の決め手は、大学の運用に沿った各種機能と柔軟性だった。「他社と比べて大学の要望が機能として反映されている。また、要望を伝えるとアップデートで対応してくれるなど、痒いところに手が届く対応でした」と同大学情報システム課長の石原有希子氏は振り返る。複数のActive Directoryサーバーや異なるドメインが混在する複雑な環境に対しても、柔軟に提案・修正を重ねてもらえたことが、長期にわたる信頼関係の土台となっている。

 今回の更新では、シングルサインオン(SSO)を実現する『ExtraConsole®︎ Secure Network(以下、ECSN)』の導入にも踏み切った。一度の認証で連携システムへスムーズにログインできる環境を整え、長年使い続けてきた基盤の上に、次の段階の構想を重ねている。

PowerShellからの解放── 約2,000人を支えるプロビジョニング自動化

PowerShellからの解放── 約2,000人を支えるプロビジョニング自動化

 管理者にとって最も大きな変化は、アカウント運用の自動化だ。かつてはPowerShellを使い、スクリプトを書いて手作業でアカウント作成やライセンス付与を行っていた。それが、『ECIDM』の画面上での操作だけで自動プロビジョニングが可能となり、作業負荷は大幅に軽減された。

 効果がとりわけ際立つのは、年度初めの繁忙期だ。「新入生およそ2,000人分のアカウントを、入学手続きの限られた時間の中で迅速かつ確実に作成できる体制が整いました」と同課係長の伊神真悟氏は語る。Microsoft 365との連携によってライセンス付与も自動化され、現在は印刷システムやActive Directoryなど、10以上のシステムのアカウントとパスワードを一元管理している。

 自動化のメリットは通常時も大きい。各部署から定期的に入るアカウントの追加・削除の依頼も画面上の操作だけで完結するため、担当者の負担は着実に軽くなっている。

 利用者の利便性も高まった。新入生が入学当初から各種システムをすぐに使い始められるだけでなく、これまで学内ネットワークに閉じていたパスワード変更が学外からも行えるようになり、「使いたいときに、どこからでも」という安心の環境が整った。日々システムに触れる学生・教職員にとって、この使い勝手の良さは大きな安心につながっており、現場からも高く評価されている。

授業を支え、メンテナンスでも活きる── 『CaLabo® EX』

 CALL教室・PC教室で使われているCALLシステム『CaLabo® EX』は、当初「コストと機能のバランスが良い」として導入された。現在は4つの教室で運用され、語学学習でのCALLシステムとしてだけでなく、一般の授業では授業支援システムとして活用されている。また、情報システム部門としても教室PCの管理やメンテナンスの際に、一斉起動機能を活用したり、負荷検証時には、一斉ファイル配布機能を活用したりすることで、現場の働き方改革に貢献している。教員にとっても、情報システム部門にとっても、運用に欠かせないツールとなっている。

2009年から動かし続けるMoodleと、保守という安心

 学習管理システムとしては、2009年からMoodleを採用している。教員が思い思いに個別の環境を立てるのではなく、情報システム課として一つのLMSを運用・サポートする。利用者は段階的に広がり、それに合わせてシステムの規模も適宜拡張されてきた。

 その真価が問われたのが、2020年のコロナ禍だった。全面オンライン授業へと一気に舵を切った際、同時アクセスが急増。これに対応するため、情報システム課が主導し、システムを2台構成から6台構成へと拡張した。CPUやメモリの調整、サーバーのチューニングを自前で行い、止めるわけにはいかないオンライン授業を支え切ったのである。教員と学生をリアルタイムで繋ぐためのツールにはZoomとTeamsの両方を用意し、画面分割の使いやすさなど、教員がそれぞれ使いやすい方を選べるようにした。

 2023年度から、Moodleの構築・運用・保守はチエルグループの一社であるチエルネクサス株式会社が担う。毎年、年度初めに同社の保守サービスがインフラを再構築することで、OSのバージョンアップを含め健全な環境を保ち続けている。また、同サービスからは利用状況に応じた適切なサイジングの提案もされるため、過剰なスペックを避けたコストの最適化にもつながっているという。「Moodle自体はオープンソースであり不具合はつきものですが、起きたときの原因調査には時間がかかります。Moodleの運用経験があるパートナーに任せられる安心感は、何より大きい」と伊神氏は語る。

「顔が見える」関係

 複数のシステムを一社グループで導入している強みを、石原氏は「顔が見える距離感」という言葉で表現する。「トラブルや課題が出たときにすぐ相談でき、迅速に対応してもらえる安心感に尽きます」。窓口が明確であることは、日々の安定した運用を確かに支えている。今後は、事務系・教育系を問わず認証基盤を含めたシステム管理の統合を進め、認証の一元化をさらに加速させていく方針だ。

 堅実に積み上げてきた「顔の見える」情報基盤を土台に、愛知大学は、その大きな構想へ向けて、確かな一歩を踏み出そうとしている。

*Microsoft、Microsoft 365、PowerShell、Active Directory、Microsoft Teamsは、Microsoft Corporation米国およびその他の国における商標または登録商標です。

*Zoomは、Zoom Video Communications, Inc.の商標または登録商標です。 *MoodleはMoodle Pty Ltdの商標です。

情報システム課 課長<br>石原 有希子 氏

情報システム課 課長
石原 有希子 氏

情報システム課 係長<br>伊神 真悟 氏

情報システム課 係長
伊神 真悟 氏

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