町・自然・歴史を有機的につなぐICT 未来を担う子どもたちを育成

―大分県―
玖珠町教育委員会

玖珠町教育委員会では、GIGAスクール構想のもと、Chromebook™ を活用した教育に取り組んでいる。地元の魅力を活かしながら、子どもたちや教師の自発性を大事にした取り組みの内容と成果について伺った。

町・自然・歴史を有機的につなぐICT 未来を担う子どもたちを育成
玖珠町教育委員会

玖珠町教育委員会
〒879-4492
大分県玖珠郡玖珠町大字帆足268-5
TEL: 0973-72-1164(ダイヤルイン)

「自発性を大事にしたい」
柔軟な発想でITに馴染む

 2021年12月2日。大分県玖珠町立森中央小学校6年生の児童たちは、海外の子どもたちと Google Meet™ で繋がる瞬間を緊張しながら待っていた。この日、デンマークのノースチャーネ小中学校と同校をオンラインで結ぶ学校交流を行ったのだ。

 郷土の偉人で、日本のアンデルセンと呼ばれた童話作家・久留島武彦についての学習の一環として、自分たちで久留島について調査した。その成果を、アンデルセンの生まれ故郷であるデンマークの子どもたちにも伝えたいという思いで生まれた企画だった。各関係機関へのアプローチや機器的な問題などクリアしていかなければならない課題も多かったが、結果は大成功。子どもたちはコロナ禍でもオンラインで遠い国の友達と交流できる喜びにあふれた。

 玖珠町教育委員会教育長の梶原敏明氏は、「Chromebook を使い始めてから1年ほどで良くここまで進化したと、手ごたえを感じました」と振り返る。

 この地域には、都市部の子どもたちと違い“本物の芸術や文化”に触れる機会が圧倒的に不足していると感じていたという梶原氏は、GIGAスクールの話が入って来た際「これは良い機会になる」と確信した。世界的なIT化の流れの中ICTはもはや避けては通れないテーマ。それなら早い方が良いと考え、整備を強力に推進した。

ICTをどう活かす?
町の魅力を発信

 大分県の中西部に位置する玖珠町は、人口約15000人の町で、小学校6校と中学校1校(町内の7つの中学校を統合)で児童数は約1000人。教職員は約150人を数える。中学校の統合の際「校内NW10Gbps」の整備を行っており、「この通信インフラが今の活用を支えている」と玖珠町教育委員会教育政策課参事GIGAスクール推進班統括の衛藤公彦氏は説明する。

 端末には Chromebook を採用した。玖珠町教育委員会教育政策課GIGAスクール推進班主事の平川拓也氏は「クラウドベースでの使用を考えた時、端末の親和性、管理の容易さでは圧倒的に Chromebook が優っていると感じたからだ」と説明する。セキュリティの面では、安全なインターネット活用を提供する Chromebook 対応のWebフィルタリングツールとして InterCLASS®Filtering Serviceを活用しており、普段の授業だけではなく安全な環境での持ち帰り学習を可能にするために活用されている。

 ICTを実施する上で、大事にしているのは自発性だという。「導入の際、学校の先生方も、当初は不安や戸惑いがあったかもしれません。働き方改革と言われる中で、負担もかかることです。だからこそ、受け身ではなく自分たちで考えることが必要です」(衛藤氏)。玖珠町では、ICTの実施と同時に『玖珠町の未来を創る人材育成会議』を立ち上げた。複数の有識者が参画し、地域教育委員会と教師、企業、学校が連携して、授業などにおけるICTの活用方針をさまざまな角度から検討した。そうした中から、玖珠町の自然体験や郷土教育、地域の可能性を探る、など3つのテーマでワーキンググループが発足。子どもたちにICTを活用したリアル体験学習を指導している。『玖珠町の未来を創る』という会議名に込められている通り、玖珠町のGIGAスクールは、ICTで地域や自然を有機的に結び付け、未来を担う子どもたちを育む独自のプロジェクトだ。自分たちが自らつくった課題だからこそ、コミットメントも自然と高くなっている。子どもたちの授業も、教師によっては Chromebook を使っても、使わなくても良いとし、その選択も自発性に任せている。「子どもたちの感性や合理性で、紙の教科書が良い場合 Chromebook を使いたい場合があり、その時々で選択しています。そうした柔軟性から自分らしい使い方が生まれていくと思います」(衛藤氏)

講師の想像を超える感性で町の魅力を世界へ発信

 玖珠町では、デジタル化による町づくりを、将来を担う子どもたちこそが主人公となって、大人と一緒につくっていきたいと考えている。そこで、一定のICTスキルを身に付けた子どもたちにはジュニアICTリーダーとして認定証やピンバッジが与えられ、玖珠町の魅力について、玖珠町教育委員会の公式HPで、情報発信をしていく。

 このジュニアICTリーダーに向けた研修が2021年11月に実施された。研修では Google の講師を招いて、Google Workspace for Education の使い方をレクリエーションを通じて学んでいった。研修は3時間に及んだが、子どもたちは目の前のデジタルツールでさまざまなことができる面白さに夢中になった。「この研修では、早速玖珠町の魅力を伝えるHPの作成に取り組みました。研修後には子どもたちが課題を持ち帰り、完成したものを2022年度前半には玖珠町のHPに公開する予定です。途中経過を見ていますがレベルが高く、完成を楽しみにしています」(梶原氏)

 玖珠町では、こうした子どもたちの中から、いずれ玖珠町の魅力をITツールを通して世界中へ発信できる人材が育って欲しいと願っている。

ジュニアICTリーダーの子どもたちが作成した、玖珠町の魅力を伝えるホームページ
ジュニアICTリーダーの子どもたちが作成した、玖珠町の魅力を伝えるホームページ

※Chromebook およびGoogle Meet は、Google LLC の商標です。

教育政策課<br>GIGAスクール推進班 主事<br>平川 拓也 氏

教育政策課
GIGAスクール推進班 主事
平川 拓也 氏

教育長<br>梶原 敏明 氏

教育長
梶原 敏明 氏

教育政策課 参事<br>GIGAスクール推進班 統括<br>衛藤 公彦 氏

教育政策課 参事
GIGAスクール推進班 統括
衛藤 公彦 氏

この記事に関連する記事