2025年のリプレースを見据えChromeOS™ Flex を導入
教育委員会訪問
―栃木県―
壬生町教育委員会
Microsoftと Google のアカウントをどちらも発行している壬生町の小中学校では、授業は Google Workspace for Education を活用するかたちで普及が進んでいる。これまでの取り組み内容と成果や、2025年のリプレース問題について壬生町教育委員会に伺った。
壬生町教育委員会
〒321-0214
栃木県下都賀郡壬生町壬生甲3841−1
TEL: 0282-81-1870
先生は学習過程を示し伴走
小学校低学年でも主体的に学ぶ
先生が学習の流れを示して教壇から離れると、あとは子供たちが自発的に学習を進める。時には友達に質問しながら学んでいく――。そんな「子供が主体の学び」を実現しているのが栃木県壬生町立壬生北小学校だ。小学2年生の生活科の授業では、子供がGIGA端末で朝顔を撮影し、気付いたことを写真に書き込み、Google Classroom で提出する。
学習の流れは先生が最初に伝えるので、子供たちは自分のペースで学習を進められる。写真の撮り方にこだわる子もいれば、観察するポイントについて友達同士で話し合う子もいる。
壬生町教育委員会指導主事の稲木健太郎氏は、「導入当初は、低学年の児童が自分たちで端末を使いこなせるとは思っていませんでした。しかし、小学2年生でも主体的に学ぶ力が育つ、それを端末が支えているといった成果が目に見えるようになりました」と明かす。
2020年3月から5月にかけて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で全国の小中学校に一斉休校が要請されたことはまだ記憶に新しい。壬生町は、子供たちの「学びの保障」のため同年8月に各校に1ギガのインターネット光回線を引いた。
「壬生町のGIGAスクール構想は回線整備からスタートしました。端末の日常使いはもちろん、コロナ禍などによるオンライン授業でも活用するため、1ギガでは到底足りませんでした。そこで同年9月に、全小中学校に10ギガの回線をローカルブレイクアウト方式で整備しました。安定したデジタル基盤が、子供たちの学びを支えています」(稲木氏)
同時期に、無線LANの安定的な運用管理を目指し「Tbridge®」を導入した。1人1台の活用は高速ネットワークが要だ。接続トラブルがあった場合は、Tbridge®で通信トラフィックを確認して原因を判断しているという。
企業版ふるさと納税を活用したオンライン英会話
壬生町では、「国際社会をたくましく生きる英語力に優れたグローバルな人づくり」の実現に向け、2022年から「ゆうがおEnglishイノベーションスクール事業」を展開している。
事業の柱の一つである「オンライン英会話」では、子供たちが端末を活用し、教室にいながら海外と交流している。指導主事の森弥生氏は、「朝の15分間の読書や自習時間の一部を活用し、世界とつながる学びを体験しています」と説明する。中学1~3年生の全生徒を対象に年20回を計画。本事業は企業版ふるさと納税を活用しており、子供たちの学びを広げるため、今後ますます地域や企業との連携が重要になると語る。
2020年4月、GIGA端末購入前の発行ができないWindowsアカウントに代わって Google アカウントを発行したことで、壬生町の小中学校はWindows端末で Google Workspace for Education(以下、Google Workspace)を利用するようになったという。こうした背景から、壬生町ではMicrosoftと Google のどちらのアカウントも取得してGIGA端末の運用が始まった。
「クラウド活用が進んでいる学校は Google Workspace を活用していることが分かってきました。デザインがシンプルで負荷が軽くて動作が速い。Google ドキュメント™ や Google スプレッドシート™ などのアプリがシームレスにつながる点や共有性の高さなどが定着していった理由と考えています」(稲木氏)
クラウド基盤の
次のステージに向けて
クラウド活用を促進するため、壬生町教育委員会は各校とのコミュニケーションをメールや電話中心からクラウドベースに切り替えた。実際に体験することで利便性の高さに気付き、先生同士のやり取りや授業でも活用シーンが増える好循環が生まれている。
「Google Chat™ を日常的に使うことで、外出先でも問い合わせの確認や対応ができるようになり、最近は教育委員会宛ての問い合わせ電話が減りました」(森氏)
2025年のリプレースを見据えて壬生町教育委員会は動き出している。具体的には、授業でGoogle Workspace を中心に活用している実態に伴い、Windows端末に ChromeOS Flex をインストールし、Chromebook™ のような使用感での活用を始めた。子供たちと先生のためのより良いデジタル基盤づくりに向けたGIGAスクール構想の次の準備を始めている。
「加えて、リプレースの時に新しくOSを入れ替えた場合は、通常現端末を廃棄するしかありません。しかし、ChromeOS Flex を導入すれば、今の端末をChromebook の予備機として活用できる見込みです」(稲木氏)
こうしたねらいもあり、壬生北小学校が実証校として、2023年7月に ChromeOS Flex をインストールし運用を開始している。これまでより便利になることに加え、システムを構築する上で出てくる課題などを記録し、知見を貯めて他校へ還元する方針だ。
*Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google Chat、ChromeOS、Chromebook は、Google LLC の商標です。
指導主事
稲木 健太郎 氏
指導主事
森 弥生 氏