公開日:2025/5/19
ネットワークは、GIGA端末活用の重要基盤 GIGAスクール構想第二期で、その重要性は更に高まる
―茨城県―
潮来市教育委員会
高速かつ安定したネットワークの構築と運用は教育委員会の重要な役割の一つだが、ネットワークの技術に 詳しい担当者がいないことも多々ある。そんな場合でも、外部の専門業者と連携し、お互いの知見を補い合う ことで、GIGA端末活用を支えるネットワーク環境を実現できる。


潮来市教育委員会
〒311-2493 茨城県潮来市辻626
目に見えないネットワークを可視化してくれた
「みんなが学び 未来を拓く」をテーマに、GIGA端末活用を進めている茨城県潮来市。デジタル教科書やさまざまな学習系アプリを、授業で利用している。しかしGIGA環境を整備した当初から、「ネットワークがつながりにくい時がある」という問題が散発していたという。潮来市には小学校が5校、中学校が4校あるが、その規模や校舎の構造はさまざま。特にいくつもの校舎に分かれていたり、内部が入り組んでいる学校で、ネットワークが不安定な傾向があった。「ネットワークが止まって、学習系アプリにログインできない」などの声も、しばしば教育委員会に届いていたという。
「ネットワークが止まってしまうと、先生方のGIGA端末活用に水を差してしまう。GIGA端末活用が盛んになればなるほど、ネットワークのトラフィックも増える。教育委員会として、早めに手を打たねばと考えました」と、潮来市教育委員会の濱田智仁氏は言う。
しかし、問題があった。当時の教育委員会には、ネットワークの技術に詳しい人がいなかったのだ。
「ネットワークは目に見えません。目に見えないところで、問題が起きています。しかも、専門的な知識がないと、問題を特定して解決するのも困難です」(濱田氏)
これは潮来市に限らず、多くの自治体が抱える悩みだ。「実は私も、2024年4月に今の部署に異動してきた時はネットワークの知識がほとんどなかった」と、濱田氏は苦笑する。そこで潮来市では、外部の業者と連携し、対応に当たることにした。また、同時にネットワークの保守や故障対応に当たってもらいながら、濱田氏を支援してもらった。基本的な知識を教わったり、膝を突き合わせて相談も重ねた。助けを借りるだけでなく、濱田氏自身も分からない専門用語があれば調べるなど懸命に勉強していったという。そのような状況を経て、ネットワークを安定化・高速化する方策を話し合い、そこで提案されたのが、チエルの無線通信可視化・安定化ソリューション『Tbridge®』だった。 「『Tbridge®』は、『渋滞』したネットワークを、『交通整理』してくれると教わり、とても腑に落ちた」と、濱田氏は言う。
まずは令和5年度に2校に試験導入し、ネットワークが安定・高速化するかを試みた。結果として2校ともに通信環境が改善する手応えをつかむことができたという。そこで、すべての市立小中学校で導入。現在は、業者が毎月ネットワークの運用状況をレポートとして教育委員会に提出し、相互に状況を確認し合っている。
「ネットワークは目に見えない、と先ほど言いましたが、『Tbridge®』はそれを可視化してくれました。レポートでさまざまな数値やグラフを見せてもらうことで、ネットワークに詳しくない者でも、現在の利用状況や、改善されていることが分かるようになったのです」(濱田氏)
現在では、ネットワークがつながりにくいなどの不満の声が教育委員会に届くことは、ほぼなくなった。「縁の下の力持ちとして、学校現場の役に立てている」と、濱田氏は顔をほころばせる。
たとえ今は大丈夫でも今後も安心とは限らない
潮来市では、GIGAスクール構想第二期に向けての整備が動き始めているが、ネットワークの保守・管理・運用がますます重要になってくると、濱田氏は強調する。
「令和2年度にGIGAを整備した時は、正直言って端末を整備するのに手一杯で、何が必要なのかもよく分からない状況でした。しかしGIGA端末活用を重ね、近隣市町村の教育委員会とも情報交換もするようになって、何に力を入れて整備するべきかが、分かってきました」(濱田氏)
その一つが、ネットワークだ。GIGAスクール構想第二期では、デジタル教科書の活用も本格化する。全国学力・学習状況調査も、順次CBT化されていく。ネットワークのトラフィックは間違いなく増加するし、止まることは絶対に許されない。
「たとえ今は大丈夫でも、第二期でも大丈夫とは限りません。トラフィックが増えれば、新たな問題が噴出してくるかもしれない。ネットワークは、GIGA端末活用の重要基盤。アセスメントを行って各校の状況を正確に把握しながら、早め早めに適切に改善していかねばなりません。この重要性を、関係各所にも伝えていきたい。『Tbridge®』のレポートを示せば、ネットワークの大切さを理解してもらえるはず」と、濱田氏は期待を寄せている。
「ネットワークに詳しくない私がここまでやってこれたのも、業者さんや『Tbridge®』のおかげ。これからも外部の方々と密に連携し、機器の力も借りて、学校現場のGIGA端末活用を下支えしていきたいと思います」(濱田氏)

時間帯ごとの利用量を視覚的に把握している。

潮来市教育委員会
教育部 学校教育課
濱田 智仁 氏