公開日:2008/5/6
「長崎県教育センターの取り組み」 〜 フラッシュ型教材制作を通した、指導力向上の為の教員研修 〜
長崎県教育センターの取り組みに関して、下田所長にお話を伺った。
「力を入れて取り組んでいることとして、月刊『教育ながさき』の編集があります。著名な先生のコラムや、県内の先生の授業紹介、授業アイデアなどを毎月ご紹介しています」。 センターでは、そのほかにも数々の特徴的な取り組みを行っている。指導主事が現場の先生方の授業の悩みや、指導方法などに関してアドバイスする「チューター制度」もそのひとつだ。 「わたしもかつては、教育センターの敷居は高く感じたんです。『とにかく何でも相談してください』そういう制度をつくりたいと思い、出来たのが、チューター制度だったんですよ」下田所長が笑顔で答えてくれた。
教員研修全138講座のうち24講座がe-Learningでの講座になっている。「長崎県は27%が離島の学校です。センターに来所頂くには、飛行機や船を使ってきていただく先生もいます。e-Learningでの教員研修により、離島の先生方にも気軽に研修に参加いただいています」。
最後に今後の情報教育の方向性に関して伺った。
「そのために、多くの実践授業例を情報誌で発信したり、電子媒体でのスピード感を持った情報発信などを積極的に行っていきたいと思っています」。
「ICTを有効的に活用することによって授業の効率化が図れます。そして、多くの時間を、子どもたちに向き合って、子どもの声を聞く時間に使ってほしいですね。余った時間で校庭でドッヂボールでもしてほしいですね」。
様々な点で、デジタルとアナログの良い部分が、積極的に取り入れられている。
しかしそれ以上に、人と人の直接的なふれあいを大事に思っていらっしゃるのを感じることが出来た。
研修
小、中、高等学校の先生方26名が受講して、2日間の教員研修「はじめてのPowerPointで教材づくり」が行われた。パソコンが苦手な先生も多く、実物投影機やプロジェクタの接続から研修は始まった。 しかし、指導力のある中堅の先生方がリードしながら、午後の教材作成の時間になると、次々とすばらしい教材が作られた。 「パソコンが得意な人が良い教材を作るのではなく、指導力がある先生が良い教材を作れるんです」とおっしゃる本多先生の言葉がとても印象的だった。
研修2日目
昨日の教材がよかっただけに、2日目の教材にも期待した。 しかし、本多先生が言ったことに驚いた。「昨日の作り方ではだめです。皆さんお忙しいので、15分以内で作れる教材でなければ現実的ではありません」。 確かに、昨日の教材の多くに、アニメーションの凝ったものや、イメージ重視のものも多くあった。教育現場での利活用に沿った、現実的なアドバイスだ。先生方は15分以内に作るという命題の中で、余計な飾りが無くなり、問題の順番を工夫したり、内容を吟味したりする時間が増えたように感じた。そして、シンプルだが、内容の濃い教材が数多く発表された。
研修を終えて 本多 博先生
「ICTを活用した経験が浅い先生方も多く、プロジェクタの活用から研修を行いました。当初、PowerPointで教材を作成するのは、ややハードルが高いのではないかという懸念もありましたが、実際に、研修終了後のアンケートでは、”フラッシュ型”の教材の作成に関して、受講者の70%が”とてもよかった”、残りの30%も”よかった”と答えています」。 「また、”明日の授業からすぐに実践したいか”という問いには、半数が”すぐに実践したい”と答え、残りの半数も”できれば実践したい”と答えています」。
「このように、簡単に短時間で作成できるフラッシュ型の教材の良さは、パソコンのスキルやICTの活用経験に関わらず、受講した全ての先生方に、何らかの形で実感していただけたようでした」。 「校務が多忙化する中で、誰でも短時間で簡単に作ることのできる教材のニーズは、今後ますます高まると思います」。
長崎県教育センター 下田 耕一所長
指導主事 本多 博先生