『「フラッシュ型教材」のすすめ』には、長年蓄積してきたノウハウと思いがこもっています。

 

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 リーフレット『「フラッシュ型教材」のすすめ』が、好評だ。リリース以来わずか1ヵ月で、1万5千部を配布。現在も入手希望が殺到している。なぜこれほど人気なのか、先生方にどこが評価されているのか。リーフレットを監修された、玉川大学学術研究所の堀田龍也先生に、伺ってみた。

リーフレットを制作したねらいと背景

 おかげさまで、フラッシュ型教材を活用する先生は着実に増え続けています。e-Teachersには全国各地から1万件を超えるフラッシュ型教材がアップされ、会員数は5千名を突破するほどの賑わいを見せています。
フラッシュ型教材の認知度が上がってきたのは喜ばしいことですが、一方で一抹の不安もあります。「フラッシュ型教材の特長を理解せず、間違った使い方をしている人もいるのでは?」という不安です。
たとえば、フラッシュ型教材はシンプルなのが良さなのに、アニメーションなどを使った複雑で凝った教材を使ったりしていないか。一問一答形式で繰り返し解くことで知識が定着するのに、見てもすぐ答えられない出題になっていないか。事実、こういった”誤った使い方”をしている例もチラホラ目にします。
正しい使い方を知ってもらうには、フラッシュ型教材を使った授業を見てもらうのが一番手っ取り早いですし、確実です。しかし、直接見てもらうには限界があります。私も学校を訪問して助言していますが、多くても年間数校が限界。チエルでもフラッシュ型教材活用セミナーを全国で開催し、フラッシュ型教材を使った模擬授業を先生方に見てもらっていますが、それでも年6回の開催がやっとです。
もっと多くの先生たちに、正しい使い方を知ってもらいたい。そこで今回、このリーフレットを制作したのです。

リーフレットに込めた情報と思い

 リーフレットを制作するにあたって、心がけたこと、気を付けた点がいくつかあります。
まず、シンプルであること。長々と説明した資料を配付しても、忙しい先生方には読んでもらえません。フラッシュ型教材はシンプルなのが特長ですから、フラッシュ型教材の良さを伝える資料も、シンプルであるべき。だから冊子やパンフではなく、手軽に目を通せるリーフレット形式にしました。
次に、フラッシュ型教材を使っている授業の写真を多く盛り込みました。写真を眺めれば、授業の雰囲気や子どもの反応が見えてきます。起立させて答える、挙手させる、身振りで答えるといった指導方法を、写真から感じ取ってもらうのがねらいです。
かなり詳しく紹介したのが、フラッシュ型教材を作る手順です。「フラッシュ型教材を作るのは大変そう、難しそう」と思い込んでいる先生はまだまだ多い。フラッシュ型教材は知っていても、教材を作る過程を見たことがないと、「作るのは難しそう」と思い込んでしまうのです。そんな思い込みを正し、「こんなに簡単に作れますよ」と安心してもらうために、作成のステップを紹介しました。
フラッシュ型教材の入手方法も、まとめてあります。e-Teachersから他の先生方が作った教材をダウンロードして使ってみてもいいし、校内で共有してもいい。もっと高度な教材が欲しくなったら、チエルのフラッシュのような製品を買えばいい。市販教材には、ネイティブの英語音声を収録しているといった、自作フラッシュ型教材シリーズにはない良さがありますからね。特にe-Teachersの利用方法は詳しく解説してあります。ぜひe-Teachersに会員登録して、フラッシュの活用の輪に飛び込んできてほしいと思います。
もう一つ、これはこのリーフレットの大きな特徴ですが、フラッシュ型教材を活用するコツとともに、「こういう使い方はいけません」という注意点も併記しました。「テンポ良く」「短い時間で」「毎日ちょっとずつ」「継続する」というコツと、「1枚のスライドを使ってじっくり考えさせるのは、フラッシュ型教材とはいいません」など、「陥りがちな罠」も列挙し、注意を促しています。

リーフレットは職員室や研修で使ってほしい

 まずは気楽にこのリーフレットを読んでほしい。読むというほどのボリュームはないので、気楽に眺めてほしいですね。職員室で他の先生といっしょに見れば、フラッシュ型教材の話題で話が弾むはずです。「子どもに”空書き”させるのもおもしろそうだ。」「男女別に答えさせる方法もおもしろいね」と、指導方法を話し合うこともあるでしょう。リーフレットを見ながらだと、フラッシュ型教材について具体的に話し合えますし、お互いの授業を学び合うきっかけにもなるでしょう。
校内研修担当の先生や、教育委員会や教育センターで教員研修を担当している先生には、ぜひこのリーフレットを研修で配ってほしいですね。そしてその場でリーフレットを開き、自分の体験談やノウハウを交えながら解説してほしい。リーフレットの一部分だけを取り上げるのでもいい。5分でもいいんです。配布して「時間のあるときに読んでおいてください」とお願いするだけでは放置される恐れがあります。一部分でも解説すれば興味がわいて、自分で読んでくれるはずです。
11月のリリース開始以来、このリーフレットは約1ヵ月で1万5千部を配布しました。校内研修や教育委員会等の教員研修で配りたいと、申込みが殺到しています。こういう資料が待ち望まれていた証拠でしょうね。
特に、フラッシュ型教材の良さを周りの先生に伝えたいのに、なかなかわかってもらえなくて歯がゆい思いをしていた先生にとっては、待望のツールでしょう。このリーフレットを見せながら話せば、フラッシュ型教材を見たことがない先生でも、フラッシュ型教材の良さを正しくわかりやすく伝えられます。

百聞は一見にしかず– 使えばすごさがわかる

 リーフレットを見たら、とりあえずフラッシュ型教材を1個作ってみてください。そして授業で使ってください。
フラッシュ型教材を体験すると、必ずアイデアが湧いてきます。「ウチのクラスならこのフラッシュ型教材が受けそう」「こういう問題があると便利」、そして「自分でちょっと作ってみよう、作りかえてみよう」と思いつきます。そして授業は予想以上に盛り上がります。百聞は一見にしかず。フラッシュ型教材のすごさを、ぜひ体感してください。
「フラッシュ型教材は単純すぎるから、工夫しようがない」「単純な教材を使うと、授業も単純になってしまう」という声を聞きますが、それは誤解です。
フラッシュ型教材は、確かにとてもシンプルな教材。しかしシンプルだから、工夫する”余地”がたくさんあるのです。
たとえば漢字ドリル、計算ドリルだって、問題がずらっと並んでいるだけの単純な教材。でも、ドリルをしっかり解けば、力がつくようにできています。ドリルの使い方も、個別に解かせる、みんなで解く、回答を発表、説明させるなど、多種多様ですよね。
フラッシュ型教材も同様です。同じフラッシュ型教材でも、先生によって使う場面や発問、答えさせ方などは異なります。子どもの学習進度や興味関心、そして授業スタイルや指導方法に合わせて、みんな自分なりに工夫して使っているのです。e-Teachersからフラッシュ型教材をダウンロードして使っている先生も、問題を変えたり発問をアレンジして使っている方がほとんどです。単純だから、工夫もアレンジもしやすい。それがフラッシュ型教材の特長。教材は自分で選び、作りたいという教師の思いに、フラッシュ型教材は合っているのです。

導入されるICT機器を宝の持ち腐れにしないために

 地上デジタルテレビ整備事業で、これから多くの学校に大型ディスプレイが入ってきます。待ちにまった大型ディスプレイがやって来る。でも、これで何を映しますか? NHKの学校放送もいいですが、毎時間は見ませんよね。せっかくの大型ディスプレイも、映す教材がなければ、宝の持ち腐れです。
そこでおすすめしたいのが、フラッシュ型教材です。フラッシュ型教材なら、各教科はもちろん、朝の時間、終わりの時間でも使えます。大型ディスプレイを毎日フル活用できるのです。
考えてもみてください。授業参観に訪れた保護者の方々に、高価な大型ディスプレイがホコリを被っている姿を見せるのと、大型ディスプレイに映ったフラッシュ型教材に子どもたちがワクワク元気に取り組んでいる姿を見せるのと、どちらがいいですか? 保護者が喜ぶのはどちらでしょうか?
決して安くない大型ディスプレイを公費で導入したのに使わないなんて、今の時代許されません。税金を納めている保護者の方々がホコリまみれの大型ディスプレイを見たらどんな気持ちになるか、想像してみて下さい。授業参観のときだけ大型ディスプレイを使って見栄を張ろうとしても、いつも使っているのかは、子どもの反応を見ればすぐわかります。だから毎日活用してほしい。フラッシュ型教材を使えば、大型ディスプレイの使い道に困ることもないし、子どもの学力も向上するし、保護者も喜びます。みんな幸せになれます。

フラッシュ型教材は教師の授業力を伸ばす

 教師は、授業準備や授業研究が大事と、昔から言われてきました。今もその真理は変わりません。そしてフラッシュ型教材は、この真理に適っています。
簡単にすぐ作れるし、他の先生が作った教材も利用しやすいので、授業準備の手間がかからない。授業研究に割ける時間が増える。シンプルな教材だから、発問や使用場面などを研究し甲斐がある。自分の授業を見直すきっかけになり、授業力アップにもつながる。
フラッシュ型教材は、教師同士の交流も活性化します。若い先生はパソコンスキルに長け、ベテランの先生は授業のノウハウを豊富に持ち、授業力・指導力に長けている。フラッシュ型教材を共通の話題にすることで、両者の間で教材や指導技術などの共有と交換が進みます。若い先生はベテランの先生の授業力を吸収し、ベテランの先生はICT機器の使い方を学ぶ。そして学校全体の指導力と授業力がアップします。
このリーフレットには、私たちが長年つちかってきたフラッシュ型教材のノウハウや思いが凝縮されています。ぜひ一読して、フラッシュ型教材の世界に飛び込んできてほしいと思います。

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玉川大学 学術研究所・准教授 堀田 龍也 先生

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