「情報教育」と「学校図書館」の幸福な関係。
静岡県静岡市立森下小学校6年1組担任・司書教諭 塩谷京子先生
【ICT活用レポート】
学校図書館から選んだ、最適の教材
塩谷学級の子どもたちを見ていて、頭に浮かんだフレーズがある。「打てば響く」。「一を聞いて、十を知る」。それほど子どもたちは塩谷先生の問いかけや指導を即座に理解し、時には塩谷先生の期待以上の反応を見せていたのだ。
「私も、子どもたちの成長ぶりに日々ワクワクドキドキしています(笑)。指導の秘訣ですか? 子どもたちの学びを"点"で終わらせず、点と点をつなげて面や線にしていることでしょうか」
たとえば今回の単元も、意図的に総合的な学習の時間とリンクさせ、教科の枠を越えた横断的な学びにしている。また塩谷学級には小学3年生から中学3年生までの教科書が常備されており、「今学んでいることの土台を、3年生で学んだね」「中学1年生では、こういう学びに発展するんだよ」と、実物投影機で教科書を映し出し、学びの過去・現在・未来を連続的にイメージさせているという。
「子どもたちの頭に、"引き出し"を作ってあげるんです。さまざまな学びを自分なりに整理して頭の引き出しに格納し、時々ひっぱり出しては新たな情報を追加し、整理し直す。その機会を、意図的に作っているのです」
もちろん「外枠」重視の指導も、子どもたちを鍛えている。単元の基礎であり本質である「外枠」は、応用が利く。国語で学んだことを社会で、社会で学んだことを算数で活用させる。こういった指導を日々行うことで、子どもたちの学びは加速度的に深まり、学び同士がリンクする。
まさに、これは図書館なのだ。さまざまな学びを整理分類し、活用し、より便利なように再分類する。子どもたち一人ひとりの頭の中で、日々図書館が構築されていると言っていいだろう。
「教育の力って、すごいですね」。インタビューを終えて思わず感嘆のため息を漏らすと、塩谷先生は笑って付け加えてくれた。
「だからこそ教師はもっと勉強しなくちゃと日々感じています。自分が知らないことは、子どもに教えられませんからね」
【富山大学人間発達科学部准教授 高橋純先生の授業解説】
常に「学びのステップ」を意識しているのがポイントだ。ホンモノ体験が大事であることに惑わされれば、プロのガイドブックを使ってしまうだろう。しかし先輩の作品を参考にさせている。また、まずは「外枠」を重視する指導や、教室に小3〜中3の教科書を置くことも、学びのステップが何であるかを重視しているからだろう。