情報教育フォーラム in SENDAI 〜学校と家庭の視点から〜

学校教育の情報化の現状と今後を考える

2018年1月22日、仙台市教育センターによる市民公開講座「情報教育フォーラムin SENDAI 〜学校と家庭の視点から〜」が仙台市内で開催された。2部制のパネルディスカッションでは、学校教育の情報化の現状や今後について、有識者をはじめ、児童生徒、保護者とそれぞれの立場から発表があり、活発に意見が交わされた。


学校教育の情報化の現在と未来を考える

 本講座は、仙台市教育委員会が仙台市PTA協議会との共ss催で開催した。すべての市立小・中学校へのタブレット端末の導入開始を受けて、今年は「学校教育の情報化」がテーマに選ばれた。教員や教育関係者、児童生徒、保護者に加え、一般からも参加者を募り、約450名が集まった。会場に設置された展示ブースには、AI搭載ロボットやドローン、プログラミング教材、認知症体験VRなどが展示され、休憩時間には多くの人で賑わった。

パネルディスカッション第1部のテーマは、「現在の学校教育の情報化を考える」。パネラーを務めた東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授を含む4名が登壇した。最初に発表した仙台市立六郷小学校の菅原弘一校長は、5年生の社会科の授業で、児童らが情報を「集め」「まとめ」「伝える」姿を紹介。情報活用能力は子供の成長に合わせて段階的に育成することが重要で、「さまざまな学習シーンで計画的に導入するためにも、環境を整備して使い方を徐々に学んでいく必要がある」と述べた。

続いて、東北学院大学教養学部の稲垣忠教授がアドバイザーを務める仙台市の取り組みを紹介した。「タブレット端末を先行導入したモデル校では、情報活用能力調査の結果が半年で2・7ポイント上昇した」とデータを示し、その成果についても言及した。さらに、静岡大学教育学部の塩田真吾准教授は、LINE株式会社と共同研究している取り組みを紹介。参加者は実際にカード教材を使って、情報モラルについての学びを体験した。また、宮城県、仙台市、LINE株式会社の三者と、塩田氏をはじめとする有識者が協力して進める「みやぎ情報活用能力育成共同プロジェクト」に言及し、3年かけてワークブックを開発する計画を紹介した。

最後に堀田氏が、新学習指導要領を支える情報活用能力、ICT環境整備の重要性を強調し、仙台市の取り組みを総括して、第1部は終了した。

仙台の子供たちの未来を支える教育を


第2部のテーマは「これからの学校教育の情報化を考える」。まずは先進的なプログラミングの授業に取り組んでいる仙台市立田子中学校の生徒会が登壇し、自作のスライドを使いながら自校の取り組みを発表した。なかでも生徒会長の藤田岳さんが発した「(本フォーラムに参加して)自分たちがICTを担っていく番だと感じた」という言葉は、登壇者や会場に向けて強い印象を残した。

続いて、宮城教育大学教育学部の安藤明伸准教授が「どうしてプログラミング教育が必要なのか」と題して発表。プログラミングを体験することで、論理的に思考を組み立てる力、コンピュータを知り、主体的に使う力が身につくとし、「こうした力は将来どのような職業に就くとしても極めて重要である」と話した。さらに、保護者を代表して、仙台市PTA協議会の山口裕子副会長が「情報教育は親にとっては未知の部分もあり漠然とした不安がある。子供とともに学び合うことが大事だと感じた」と保護者目線で感想を述べた。

最後に、堀田氏は「教員、研究者、保護者、そして子供たちがそれぞれの立場で努力し、仙台市みんなで学校教育の情報化を進めていきましょう」と会場に呼び掛け、フォーラムは盛況のうちに幕を閉じた。

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