公開日:2008/7/7

第4回「教科の中で情報活用能力を育てる」

堀田龍也先生連続インタビュー

 大好評連載中の、堀田龍也先生のインタビュー「これでわかる『教育の情報化』」。第4回のテーマは、「教科の中で情報活用能力を育てる」です。今なぜ、授業の中で情報活用能力を育む必要があるのか、どんな方法が考えられるかについて、語っていただきました。

情報活用能力が不可欠になった現代

 

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図2

 ですから、「情報活用能力」を教えることと、ICT機器を使って授業をすることは必ずしもイコールではありません。第1回のインタビューで解説した図をもう一度見てください(図2参照)。ICTを使って授業方法を工夫する「授業でのICT活用」と、授業の内容を工夫し、情報社会を生きるために必要な力を養う「情報教育」は別物。情報活用能力は、後者で育成します。

教科の特性に合わせて、情報活用能力を育む場面を設ける

 では、情報活用能力をどうやって授業で教えればいいのか。難しく考える必要はありません。教科の特性に合わせて、鍛える力や場面を設ければいいのです。

 たとえば、書いたり発表したりする力を鍛えるには、国語科が向いています。調べる活動は社会科に取り入れやすいですし、算数科では集めた情報をグラフや図に整理してわかりやすく伝える力を鍛えられます。各教科のねらいや活動に沿う形で、少しずつ育んでいけばいいのです。

 このやり方は、新しい学習指導要領にも明記されています。
国語科では、「相手や目的、意図に応じて、調べたこと・考えたこと・伝えたいことを、工夫して話したり書く態度を育てる」「相手の意図や内容、要旨をつかみながら聞いたり読み取る能力や態度を育てる」といったことが、目標として掲げられています。
算数科では、「数、式、図、表、グラフを用いて考えたり、説明したり、互いに伝え合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れること」が求められています。
さらに、こんな一文もあります。
「情報に関する学習を行う際には、情報を収集・整理・発信したり、情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること」。新・学習指導要領では、あらゆる教科の「情報化」が進んでいるのです。

 情報社会の到来に対応すべく、学習指導要領は変わりました。教師も変わるべきときが来ています。
今一度、新・学習指導要領を読み直してみてはどうでしょうか。今後の教育の在り方が、見えてくるはずです。
身の回りにある多様な情報やメディアを上手に使いこなし、情報の海を泳ぎ切る力を、子どもたちに身につけさせてあげましょう。

 

 第5回では、「子どもたちを情報社会の影から守る」について、語っていただく予定です。次回のチエルWebマガジンもお見逃しなく!

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