公開日:2012/11/14
「平成25年度概算要求」に見る注目の「大学改革」を中心にピックアップ!
来年度のビジネスに向けて
平成24 年9 月、「平成25 年度概算要求」が、文部科学省から発表された。ここでは、特に注目される「大学改革」に関連の深い項目をピックアップ。いずれもICT の利活用が大きく絡む項目であり、ぜひとも、来年度のビジネスに向けて、参考にしてほしい。
【国立大学改革の推進】
目標:国立大学改革を促進し、国立大学が社会を変革するエンジンとしての役割を担う。
(2) 国立大学改革促進補助金 170 億円 (昨年度138 億円)
『大学改革実行プラン』の下、大学・学部の枠を超えた連携・再編成など、国立大学改革を促進させるため、基盤的経費の予算配分において、大学の強み・特色を反映させる一環として、以下の事業を創設。
①組織運営システム改革促進事業 110 億円(昨年度138 億円)
大学ガバナンス確立に向けた国立大学の組織運営システム改革に着目して重点配分に取り組む。20 件程度。
②分野別トップレベルの学科・専攻等への重点化促進事業 60 億円(新規)
大学の強みとなり得るトップレベル分野を有する大学を対象に、大学自らが当該分野のさらなる重点化に取り組み、強みを伸ばすことを国として促進する。
平成25 年度においては、医学・工学分野での重点配分に取り組む。1 度あたり3 億円、最大20 件程度、配分期間:5 年(平成25 年度~平成29 年度)
(3) 大学教育研究基盤強化促進費 90 億円 (昨年度43 億円)
各大学のニーズを踏まえつつ、組織運営システム改革の促進や分野別トップレベルの学科・専攻への重点化につながる教育研究基盤強化を支援する。40 件程度。
【私立大学改革、多様な人材育成への支援など私学の振興】
(1) 私立大学等経常費補助 3,345 億円(昨年度3,263 億円)
建学の精神や特色を生かした私立大学等の教育研究活動を支援するための基盤的経費を充実するとともに、被災地にある大学の安定的教育環境の整備や授業料減免等への支援を実施する。
◆ 私立大学等改革総合支援事業(下記の一般補助及び特別補助の内数) 125 億円
『大学改革実行プラン』に基づき、大学教育の質的転換や特色を発揮して、地域の発展を重層的に支える大学づくり、産業界や国内外の大学等と連携した教育研究など、私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、経常費・施設費・設備費を一体として重点的に支援する。
・TA 等の支援者・社会人学生・外国人教員等に係る支援
・学修環境の充実や教学的ガバナンスの改善など、特色ある取組に対する支援
・学内ワークスタディ等への支援の強化、企業との合同スカラシップへの支援 等
◆ 一般補助 2,874 億円 (昨年度2,793 億円)
教職員給与費など大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援する。
◆ 特別補助 471 億円 (昨年度470 億円)
我が国の成長を支える人材育成の取り組みや大学等の国際交流の基盤整備への重点的支援、授業料減免等の充実と、被災地の大学の安定的教育環境の整備を図る。
(2)私立高等学校等経常費助成費等補助 1,030 億円(昨年度1,005 億円)
私立高等学校等の教育条件の維持向上や保護者の教育費負担の軽減及び学校経営の健全性の向上を図り、各学校の特色ある取り組みを支援するため、都道府県による経常費助成等を補助する。
◆ 一般補助 892 億円(昨年度884 億円)
各都道府県による私立高等学校等の基盤的経費への助成を支援する。
◆ 特別補助 109 億円 (昨年度94 億円)
各学校の特色ある取り組みを支援する。
・教育の国際化の推進、教育相談体制の整備、授業料減免事業 等
◆ 特定教育方法支援事業 28 億円 (昨年度27 億円)
特別支援教育など特定の教育分野について、その教育の推進に必要な経費を支援する。
(3) 私立学校施設・設備の整備の推進 473 億円(昨年度218 億円)
建学の精神や特色を生かした私立学校の質の高い教育研究活動等の基盤となる施設・設備等の整備を支援する。
◆ 私立大学等改革総合支援事業(下記の教育・研究装置等の整備の内数) 30 億円
・私立大学等の組織的・体系的な改革取り組みを、施設・装置整備を通じて支援する。
◆ 教育・研究装置等の整備 106 億円 (昨年度86 億円)
・教育及び研究のための装置・設備の高機能化等を支援する。
◆ 耐震化等の促進 360 億円 (昨年度125 億円)
◆ 私立大学病院の機能強化 7 億円 (昨年度7 億円)
(4) 私立大学等教育研究活性化設備整備事業 45 億円 (昨年度31 億円)
私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、私立大学等の改革取り組みを設備環境の整備を通じ支援する。
*「私立大学等改革総合支援事業」において実施。
【国公私立大学を通じた大学教育改革の支援】
(2) 大学教育の充実と質の向上 50 億円 (昨年度53 億円)
各大学の強みを活かしながら、大学を超えた連携を深め、多様かつ質の高い大学教育を提供する取組や、産業界のニーズに対応した人材を育成する取組など、優れた大学教育改革の取組を支援することにより、大学教育の充実と質の向上を実現する。
◆大学間連携共同教育推進事業 30 億円 (昨年同額)*48 件〔継続〕
国公私の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学が相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムを構築する取り組みを支援する。6,250 万円×48 件。
◆ 産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業 20 億円 (昨年度23 億円)*9 件〔継続〕
大学・短期大学がグループを形成し、地域の産業界等との連携を通じて、産業界のニーズに対応した人材を育成する取り組みを支援する。2.25億円×9 件。
【高校教育等改革の推進】 6億円( 新規)
(1) 高等学校等改革リーディングプロジェクト 5.9 億円 (新規)
少子化の進行や情報化、グローバル化の進展等、児童生徒を取り巻く社会状況が多様化する中、柔軟で多様な進路設計を可能とする教育を実現するため、小中一貫教育や中高一貫教育等の充実を図る。
また、高等学校段階において、最低限必要な能力や、生徒の適性や進路等に応じた能力を身に付けさせるとともに、社会・職業への移行に必要な能力や専門職業人に必要な能力を育成し、その学習成果を測るため、学校・地域の実情に対応した意欲ある取組の支援等を通じた高校教育改革を推進する。
① 多様な教育体系の確立(633 制の柔軟化)に向けたシステム改革推進事業[40 団体] 1.15 億円
・小中一貫教育の推進 ・中高一貫教育の推進 ・高大接続の取組支援。
② 高校教育改革リーディングスクール推進事業[42 団体] 4.75 億円
・生徒の学びの質保証…各都道府県等で生徒の能力育成と学習の成果を図るためのプランを策定し、プランを実践するリーディングスクールを決定し、都道府県内で検証を行う。
・学校評価…学校運営全体について、高校の特性を踏まえた評価項目・指標の設定等の実践研究を行う。
【グローバル人材育成推進のための初等中等教育の充実】 8.8 億円( 昨年4.28億円)
(1) 小中高を通じた英語教育強化推進事業 4.8 憶円 (新規)
英語の使用機会の拡充やモチベーションの向上等、英語教育に関する優れた取組を行う拠点校を支援するとともに、外部検定試験を活用して生徒の英語力を把握検証し、生徒の英語力の一層の強化を図る。また、教育委員会と連携した大学による小中高の教員集中研修を実施し、小中高を通じた外国語教育の指導改善を図る。
*拠点校における「ICT の効果的な活用に対する指導・助言」が含まれている。
(2) 将来的な外国語教育のあり方に関する調査研究事業 0.3 憶円 (新規)
グローバル人材育成の基礎となる英語・コミュニケーション能力の抜本的強化を図るため、研究開発学校や教育課程特例校等の外国語教育に関する先進的な取組の収集・分析やその成果等の検証方法の開発、児童生徒の外国語能力の向上に資する効果的なICT 活用事例の研究等、小学校をはじめとした各学校段階における外国語教育のあり方について調査研究を行う。
*研究開発学校等、先進的な外国語教育の実践校における取組例として、「ICT を用いた外国語による国際交流等の実施」が示されている。
(3) 高校生の留学促進 3.5 憶円 (新規)
海外留学する高校生の留学経費支援の強化や、グローバル人材の基盤を形成する取組の推進を図るため、当該取組を行う都道府県や高校生の留学・交流を扱う民間団体等を支援する。・留学対象人数:600 人
【グローバル人材育成のための大学の国際化と学生の双方向交流の推進】475 億円 (昨年度445 億円)
(1) 大学教育のグローバル展開力の強化
③ 大学の世界展開力強化事業 44 億円 (昨年度27 億円)56 件(うち新規21 件)
国際的に活躍できるグローバル人材の育成と大学教育のグローバル展開力の強化を目指し、高等教育の質の保証を図りながら、日本人学生の海外留学と外国人学生の戦略的受入を行うアジア・米国・欧州等の大学との国際教育連携の取り組みを支援する。
(2) 学生の双方向交流の推進
② 日本人学生の海外交流の推進
・日本人学生の海外派遣と留学生短期受入れを一体とした交流事業(派遣分) 54 億円 (昨年度31 億円)
≪長期派遣(1 年以上)≫ 200 人 → 300 人( 昨年度比100人増)⇒学位取得を目指し、海外の大学に留学する学生に奨学金を給付。
≪短期派遣(1年以内)≫ 8,580人 → 10,000人( 昨年度比1,420人増)⇒大学間交流協定等の基づき、海外の大学に短期留学する学生に奨学金を給付。
③ 留学生の受入れ環境の充実
・日本人学生の海外派遣と留学生短期受入れを一体とした交流事業(受入分) 24 億円 (昨年度22 億円)
⇒大学間交流協定等の基づく海外留学生に奨学金を給付。対象5,000 人。