公開日:2013/11/26

Doctor Webと共に考える、教育現場のセキュリティ。

お話を伺った方
Doctor Web CEO:ボリス・A・シャロフ氏
Doctor Web Pacific 代表取締役:菅原 修氏
Doctor Web Pacific 営業部部長:田崎十悟氏

再考・学校のセキュリティ

 世界的に増加の一途をたどっているサイバー犯罪やオンラインの脅威。そこでは国境はもちろん、学校という枠組は無力です。校門に施錠し、監視カメラを備えたところで、何の効果もないことは言うまでもないでしょう。にも関わらず、児童生徒はもとより、学校にお勤めの先生方の中にもネットセキュリティへの関心が低い方が少なくないため、むしろ一般企業や意識の高い個人家庭などより、脆弱性は高いとさえ言えるのが現状です。

 チエルでは小中高、そして大学まで、数多くの学校現場で、ICTシステムの導入をお手伝いする中で、セキュリティへの懸念を訴える声を耳にしてきました。

 そうした声にお応えするため、チエルがパートナーに選んだのが、ロシア発のセキュリティソリューション企業・Doctor Webです。この度、同社のCEOであるボリス・A・シャロフ氏が来日され、当社を訪問されたので、同社日本法人の菅原社長、田崎営業部長と共に、改めてその取り組みについてお話を伺いました。

ミッションに導かれて

──まず始めに、御社のプロフィールについて聞かせてください。

ボリスCEO「私たちの製品であるDr.WEBは、日本では、まだ一般になじみが薄いブランドかもしれませんが、その設立は早く、まだロシアでソフトウェア市場が本格的に立ち上がる以前の1990年代初頭に創設されました。以来約10年間、企業として利益を追求することなく、ひたすら技術を磨き、セキュアなネットワーク利用を可能にするための努力を重ねたのです。その間、広報宣伝活動はほとんど行っていなかったのですが、高い技術力がネット上で評判を呼び、いつしかロシアの官公庁において、実に95%ものシェアを獲得していました」

──積極的な営業活動なしに95%とは凄いですね!

ボリスCEO「ええ。こうした輝かしい実績をあげた後の2003年、創業から約10年を経て、私たちは法人体制へと移行しました。それまでに磨き上げた技術を、より多くのユーザーの安心安全のために提供しようと営業活動をスタートさせたのです。以来、現在までに日露を含む7か国に現地法人を設置し、各地域に特有の脅威の把握や、情報収集、また公的機関への積極的な情報提供にも努めています」

──御社の名前をネットで検索すると、セキュリティ上の脅威に警鐘を鳴らすレポート記事などが多く見られますが、それはこうした活動によるものだったんですね。

菅原「そうですね。日本でも、著名な情報セキュリティ企業と協業体制を組んで、ウイルス検体の収集や分析、官公庁や企業への情報提供やセキュリティコンサルティングなど、インターネット上の脅威について、着実な貢献を重ねています。ビジネスに先んじてこうした活動を進めてきたのも、当社の創業の精神から来たものだと思っていただけると嬉しいです」

Dr.WEBのテクノロジーとは

──高い技術力とリサーチ力に支えられている御社のセキュリティ製品ですが、その特徴はどこにあるのでしょうか。

ボリスCEO「Dr.WEBのセキュリティソフトは、その技術的なアプローチが他社とは異なります。後者が主にマーケティング上の理由から、ウイルスの検知に偏って注力しがちであるのに対して、私たちは検知はもちろんのこと、駆除の能力を高める努力を常に重ねてきました。その結果、特に現在、広く世界で脅威となっている潜伏型のウイルス、とりわけ身代金型ウイルスと呼ばれる、端末内のファイルなどを軒並み暗号化し、その解除のために金銭を要求するといったものに対しても、その検出だけでなく、その活動を事前もしくは極めて初期に阻止できるという効果を発揮しています」

英語圏で発見された身代金型ウイルスの一種が金銭を要求する画面を表示している様子。既に日本語に対応した亜種も見つかっている

──なるほど。それは心強いですね。

田崎「チエルさんとのパートナーシップで教育市場へ進出した我々ですが、ここでも私たちの製品がお役に立てるということを実感しています。教育現場では、企業などと違い、専任の情報システム担当者が置かれている例はほとんどありませんから、万一のウイルス感染などの際、外部からのサポートを待つ間のダウンタイムが大きくなりがちという問題があるのですね。せっかくウイルスを検出しても、駆除ができなければ結局はこのダウンタイムを縮めることはできないと思います。だからこそ、教育現場にDr.WEBが導入されることには大きな意味があるのです」

教育現場の特性を見据えて

──他にも教育現場への参入で感じられたことはありますか。

田崎「企業ユーザーとの違いとして、Macユーザーの多いことも教育現場の特徴のひとつです。Dr.WEBももちろんMacに対応しています。当社のラボでは2012年、55万台ものMacによって構成された大規模なボットネットを発見し、全世界に警告を発しました。「Macは安全」と思い込んでいるユーザーも多いと思いますが、それは絶対的にユーザー数の多いWindowsと比較して、という話に過ぎません。Macユーザーにはセキュリティに関する意識が薄い分、かえって危険を招きかねない面もあることを知っていただきたいですね」

2012年頃よりMacで猛威を振るったマルウェア「Flashback」の感染分布図。英語圏を中心に大きな広がりを見せている

ボリスCEO「ちなみに、やはり教育現場に数多く導入されているiOSについては、メーカーの意向によってアンチウイルスソフトの開発ができない現状があります。iOS端末にインストールできるアプリはメーカーが一元的に審査・管理しており、それによって安全が保たれているという主張に基づくものですが、ソーシャルエンジニアリング(人間の心理的なスキや、不用意な行動につけ込んで個人情報などを入手する方法のこと)やWebサイト、Webコンテンツ側の脆弱性を利用した攻撃はiOS端末にとっても脅威です。こうした点については、現状、ユーザーが注意を払っていくしかありません。当社には『最大のセキュリティホールは、モニターの前に座っている』という言葉もあります。皆さんにも気をつけていただきたいですね」

──なるほど。学校現場の皆さんにも、セキュリティ意識を高めていただくことが何より大切ですね。

菅原「私たちは、日本の教育市場の特性や実情に合わせて、学校内の端末やサーバーだけでなく、先生方がご自宅で使われるPCやAndroidタブレット、スマートフォンなどでも、すべてセキュリティソフトをお使いいただける形でライセンスをご提供しています。子どもたちがより安全なネット環境で学習にいそしみ、先生方には安心して日々の業務を行っていただけるよう、これからもチエルさんと力を合わせて頑張って参りますので、ぜひDr.WEBの導入をご検討いただきたいと思います」

──本日はどうもありがとうございました。

取材・撮影:西尾琢郎(リンカーベル)

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