公開日:2022/12/9
Google フォームとの連携で生徒の主体性を引き出す授業へ
―広島県―
広島市立舟入高等学校
グローバル社会で活躍できる人材育成に力を入れる広島市立舟入高等学校は、CaLabo®シリーズと Google Workspace for Education を組み合わせた授業づくりを進めている。生徒の主体性を引き出す工夫とは。
広島市立舟入高等学校
〒730-0847
広島市中区舟入南一丁目4番4号
校訓「おのれに徹して人のために生きよう」の下、予測困難な社会を生き抜くことのできる生徒の育成を目指している。外国語学習にも力を入れており、国際コミュニケーションコースを各学年1クラス設置。韓国とフランスの高等学校と姉妹校提携し、積極的な国際交流を行っている。
事前準備で授業効率アップ
配布・会話・回収機能をフル活用
2019年に創立70周年を迎えた広島市立舟入高等学校は、国際コミュニケーションコースを各学年に1クラス設けるなど、グローバル社会で活躍できる人材の育成に力を入れている。フランスと韓国の高等学校と姉妹校提携し、国際コミュニケーションコースはもちろん、普通科の生徒にも定期的かつ積極的な国際交流の機会を用意している。
CALL教室は1998年から設置され長年利用されてきた。数年前からシステムの更新を検討していた中、高等学校の学習指導要領の改訂によりディベートやディスカッションを通じて発信力を磨く「論理・表現」の科目が設置されたこともあり、さまざまな機能が搭載され、拡張性も高いCaLabo® EXを2021年度に導入した。
イノベーションデザイン部長(英語科)の柏原奨平先生は「これまで利用してきた Google Workspace for Education と新たに導入したCaLabo® EXを組み合わせた授業を一日でも早く軌道に乗せたいと考えています。そのため、4月の導入直後から授業で活用し、生徒たちにも徐々に浸透しています」と手ごたえを語る。
例えば、Google フォームとCaLabo® EXを組み合わせた英文読解の授業では、事前に Google フォームを通じて教材の英文に対する疑問点を生徒に聞く。実際のCALL教室での授業では、それらの疑問点を集約したWordファイルを「ファイル配布」機能で先生から生徒側のPCに一斉共有。次に、「ランダムグループ会話」機能を使い、ランダムにグループ分けされた席の離れた生徒同士で、ヘッドセットを通じて、一つ一つの疑問点を話し合って解決していく。最後に、話し合った内容をWordファイルにコメントし「ファイル回収」機能で先生に提出する流れだ。その後、先生のPC画面を各生徒のPC画面にリアルタイムに表示させ、提出ファイルの内容をレビュー。グループワークで解決できなかった箇所に先生が解説を加えていった。
基本的には、生徒が主体的に調べ、ディスカッションしながら授業が進むため、先生の介入は最低限だ。「授業中はずっと、生徒全員が自分の頭を使って考える時間にしたいと考えています。ファイルの配布・回収やランダムグループ作成など、『かゆい所に手が届く機能』のおかげでスムーズかつ効率的に授業を進行できます」(柏原先生)
PC・スマホでも授業内外問わずに学習内容を記録
柏原先生は、特にスピーキングとリスニングでの活用に関心を寄せているという。動画学習ツール「ムービーテレコ」で映画などの音声を教材として用い、生徒に同時に通訳やシャドーイングを吹き込ませたり、相手がランダムに決まる「ペア会話」機能でスピーキングの練習をしたりなど、授業の構想を練る。
同校はCaLabo® EXに加え、クラウド型の英語4技能に対応した語学学習システムであるCaLabo® MXも同時に導入した。同システムは、PCでもスマホでも、学習した内容が授業内外問わずに全て記録される。音声認識もできるので、スピーキングの音声チェックやスクリプト生成機能にも注目だ。
「例えば、アメリカ英語、イギリス英語などの方言のモデルを決め、真似をして練習してもらうという使い方もできると思います。著名人など、生徒それぞれに真似したい人物がいれば、『○○みたいになりたい』という気持ちは学習の強いモチベーションになるでしょう。CaLabo® MXなら、生徒が自宅など校外でも練習できるのが魅力です」(柏原先生)
ICT活用で、本当の意味での 「学び」の時間を増やす
今後の本格運用に向け、製品への期待も膨らむ。「音声教材は、まだまだアメリカ英語やイギリス英語が主流となっていますが、世界にはさまざまな国や地域に英語話者がいるので、アジア圏出身者の音声などスピーカーのバリエーションが増えたら嬉しいです。また、CaLabo® シリーズは言語学習を想定しているシステムだと思いますが、URLの一斉送信やファイルの配布・回収、録音機能などは、英語以外の教科や探究学習でも活用できるのではないかと思います。例えば、生徒たちが日本語での自分のプレゼンテーションを録画し、それを観て、どう改善したらよいかを分析することもできますね」(柏原先生)
学校としてのICT教育の推進について、同校の柳智子校長先生は「ICTはあくまで生徒の学びをサポートするツールです。それにより教員側は業務改善に、生徒側では本当の意味での〝学び〟により多くの時間を割くことにつなげていきたいと考えます。ICTを使うこと自体が目的になってしまわぬよう気を付けながらも、多くの教員に『便利だから自分の授業でも使ってみたい』と思ってもらえるように、校内で情報共有していけたらと思います」と展望を語った。今後、世界に羽ばたいてゆく舟入高等学校の生徒たちの成長に、CALL教室での学びが大きく貢献することを期待したい。
* Google フォームは、Google LLC の商標です。
校長
柳 智子 先生
イノベーションデザイン部長(英語科)
柏原 奨平 先生