公開日:2025/5/6

アカウントの統合管理により業務効率化を図りDXを実現する

―東京都―
立正大学 品川キャンパス

日本社会が直面している課題は大学の情報システムの運営にも大きな影響を与えることが予測される。今回は立正大学品川キャンパスの情報環境基盤センターがどのような課題に向き合っているのか、また統合ID管理システムである『ExtraConsole® ID Manager』を活用した取り組みについてレポートする。

立正大学品川キャンパス

立正大学
品川キャンパス

〒141-8602
東京都品川区大崎4丁目2−16

2022年に開校150周年を迎えた歴史ある大学で、9学部16学科7研究科を擁する総合大学。『「モラリスト×エキスパート」を育む。』を学園メッセージとして掲げている。

BYOD環境下における情報環境基盤センターの役割

立正大学品川キャンパス 情報環境基盤センターの佐々木部長と白川課長。
立正大学品川キャンパス 情報環境基盤センターの佐々木部長と白川課長。

2022年に開校150周年を迎えた歴史ある総合大学である立正大学は、教育ビジョンとして『「モラリスト×エキスパート」を育む』を掲げ、学修基盤、特に情報環境基盤を支える部署として情報環境基盤センターを有している。情報環境基盤センターは学内の教育研究システムの構築・保守から各施設のネットワーク環境の整備、情報セキュリティ対策などを支えながら、共用端末、LMSをはじめとした各種授業支援ツールなどを提供し、ICTを活用した教育や研究活動を多方面から支援している。立正大学品川キャンパスでは学生が使用する端末は端末室や図書館に設置された常設パソコンの利用中心だったが、コロナ禍をきっかけにBYOD(個人の端末の持ち込み)が進むようになり、各個人の端末から学内のネットワークへ接続したいという需要が大きく高まった。このような状況の変化に対し「情報環境基盤センターでは、学生が持ちこんだ個人のパソコンでも無線LANに安定してつながり、学内のさまざまなシステムにつなげて効果的に学修ができる環境を提供する必要があります」(峰内暁世氏)と情報環境基盤センターとしての役割を語る。

統合ID管理システムの切替を行った背景

大学ICT推進協議会「高等教育機関におけるICTの利活用に関する調査研究(令和2年7月)」によると、LMS(学習管理システム)を全体または一部で導入する4年制大学は69.2%に上り、大学の授業にも高い割合でシステムが利用されていると分かる。それに加え、立正大学はオンライン授業のためのシステムやMicrosoft365などのクラウドサービスを導入しており、学生や教職員が保有するアカウントは増える一方だ。

「2014年ごろから学生・専任教職員のアカウントに加え、入れ替わりの多い非常勤の教職員のIDも含めて管理するようになりました。また、Microsoft365などのクラウドサービスも増えてきて、さまざまなアカウントが乱立するようになってしまい、IDを統合的に管理する必要が出てきました」(峰内氏)

「システムが増えるのに合わせて、IDもシステムごとに異なることは避けたいと以前から考えていました。そのため、学生、教職員含めて一人1アカウントを目指してはいたものの、どうしても完全に実現するのには限界がありました」(後藤紀恵氏)

立正大学では、以前より他社製品の統合ID管理システムを活用していたが、課題もあったという。

「今後、さまざまなクラウドサービスが増えていくことを見据え、よりセキュアな環境を目指してSSO(シングルサインオン)の導入を構想していたのですが、当時導入していたシステムでは連携機能を持っていなかったのです」(峰内氏)

加えて長い期間バージョンアップがされておらず、今後の運用にも不安を持ったという。

その時に提案されたのがチエル社の『ExtraConsole® ID Manager』だった。

「『ExtraConsole® ID Manager』は学校現場に特化して開発された製品だったことから大学のことをよく分かっているなという印象がありました。また、本学では『CaLabo® EX』など他のチエル製品の導入実績もあったことから、移行作業に関しても安心感があったため、本製品を導入することにしました。もちろんコスト面でも他の製品候補よりもメリットがありました」(峰内氏)

統合ID管理システムの移行作業は初めての経験だったので、大がかりになると想定していた。「システムの移行」だけではなく「ユーザー側のUI変更」もあるからだ。しかし二人から返って来た答えは意外なものだった。

「正直、変化を感じられないくらい移行がスムーズで驚きました。学生や教員からの問い合わせもほとんどありませんでした」(後藤氏)

「当然ながら、モニター上の画面は変わったのですが、UIが良かったのだと思います。そのため、学生も教員もシステムを使用する際に戸惑いを覚えることはありませんでした」(峰内氏)

移行後に改めて感じた『ExtraConsole® ID Manager』のメリット

「業務効率の点ではかなりメリットを感じています。複数のActive Directory(AD)やLDAPがあるのですが、それを各サーバーに入らずにGUIから確認できるようになったところは管理者側からするとすごく便利に感じます。IDを発行したのに利用できない時など、IDを調査・検索するときの業務負担が軽減されました」(峰内氏)

特に利便性を感じたのが卒入学の時期だったという。立正大学に限らず大学の情報システム課にとって特に業務量が激増するのは卒入学時期の春。卒業生が大学を離れ、新入生が入ってくるため、IDの大幅な更新が必要になる。

「卒入学時期のID更新も従来と比較して作業時間が激減しました。今では1日あれば作業は完了します」(峰内氏)

「新入生入学時の登録も楽になりました。また、入力時にエラーがあるとすぐに視覚的に表示してくれるため、とても作業がしやすかったです」(後藤氏)

情報環境基盤センターが見据える未来

『ExtraConsole® ID Manager』によって、IDの統合が実現した今、立正大学の情報環境基盤センターはどのような未来を見据えているのか?

「SSOの導入を推進し、セキュアな環境でさまざまなクラウドサービスと連携させることによって教員・学生双方の利便性をさらに高めていきたい」(後藤氏)

その具体例の一つがオンライン授業だ。

「コロナ禍が終わって授業は対面に戻りましたが、今後もオンライン授業やLMSを使ったオンデマンド授業は新しい形で継続されていくと考えています」(後藤氏)

オンデマンド授業を活用することで教員は出張等によって授業を休講にする必要もなくなり、学生も自分のスケジュールに合わせて受講できるというメリットがある。双方にとって自由度や利便性が向上するという。また、令和7年度よりアカデミックカレンダーの変更によって体制も大きく変わってくる。対面授業だけでは教員も学生も負担が大きくなってしまうので、オンライン授業等で解決していけるのではないかと模索中だ。

「他にも、共通科目の授業はオンラインを使って品川、熊谷の両キャンパスの学生が受講できるようになったり、他大学との連携も含めて単位互換などができるようにするなど、教員の手数を減らしつつ、学生が便利になおかつ主体性をもって学修できるようにシステムだけでなく人的サポートも含めて支援の範囲を広げていきたい」(峰内氏)

立正大学品川キャンパスの情報環境基盤センター職員の集合写真。少数精鋭体制で学内のシステムを見守る。
立正大学品川キャンパスの情報環境基盤センター職員の集合写真。少数精鋭体制で学内のシステムを見守る。
情報環境基盤<br>センター長<br>白木 洋平 氏

情報環境基盤
センター長
白木 洋平 氏

情報環境基盤センター付<br>課長<br>峰内 暁世 氏

情報環境基盤センター付
課長
峰内 暁世 氏

情報環境基盤センター<br>品川情報システム課<br>後藤 紀恵 氏

情報環境基盤センター
品川情報システム課
後藤 紀恵 氏

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