公開日:2025/5/19

ICTを活用し、生徒一人ひとりのニーズに合った学びを深める

ICT化がもたらす業務の効率化と学びの「深化」

―熊本県―
秀岳館高等学校

熊本県八代市にある秀岳館高等学校は九州でもいち早く「1人1台端末」を導入した高等学校として知られている。創立100周年を迎え、大幅なコース再編を行い、新たなスタートを切った秀岳館高等学校はどのような経緯でICTを導入し、今後どのようなビジョンを持っているのか。

Tbridge®の導入イメージ例(潮来小学校)
Tbridge®の導入イメージ例(潮来小学校)
秀岳館高等学校

秀岳館高等学校
〒866-0881
熊本県八代市興国町1-5

1923年創立、「中道を歩み 社会有為の材となることを期せよ」を校訓とする私立男女共学の高等学校。スポーツの分野でも高い実績を誇る。

創立100周年を迎え「深化と挑戦」のテーマと共にICTの活用も推進

創立100周年を迎え「深化と挑戦」のテーマと共にICTの活用も推進

 秀岳館高等学校がある熊本県八代市は、GIGAスクール構想が立ち上がるのと同じ時期に市内の小中学校に1人1台端末を整備するなど九州でもICTの活用に積極的なエリアとして知られている。

 同校はプロスポーツ選手を何人も輩出し、大学進学を目指すなど文武両道に力を入れている学校で、多彩な進路支援を通じて未来のリーダーを育成している。令和5年に創立100周年を迎えて学科コースを大幅に再編し、「深化と挑戦」をテーマに新たに動き出した。

ITリテラシーは社会の要請
本校で習熟して送り出したい

 「令和2年ごろからGIGAスクール構想が強調されるようになり、本校がある熊本県八代エリアの小中学校ではいち早く授業で1人1台端末の活用が始まりました。小中学校の段階でITリテラシーを身に付けた生徒たちをサポートするためには、受け入れ先である本校もICT導入に本腰を入れて取り組む必要があると感じたのがきっかけでした」(濵田圭祐先生)

 当時の校長は1人1台端末の導入に前向きで、それが生徒たちの学びの深化につながることは分かっていた。しかし、懸念点もあった。教員のITリテラシーが追いついていないことである。年齢層の高い教員を中心に半分以上の先生はパソコンに慣れておらず、書類のほとんどが手書きで作成する状況が続いていた。一部の先生からは、「端末を活用した授業に踏み切るなら、自分は教員を続けられない」といった声も聞かれたほどだった。

 そうした先生方の不安を取り除くために、令和2年度から継続的に行ってきたのが「ICT活用研修」だ。ICT機器の導入をサポートしてくれている外部業者が校内の先生を対象とした独自の研修を行ってくれた。そうした研修と並行して、徐々に校務でもICTツールを使ってもらえるようにした。

 こうした取組みを行うことでICTが苦手だった先生も前向きになってくれ、令和4年度には、1人1台端末環境を完備した。

 「研修を行ったからといって、すべての不安がなくなったわけではありません。しかしながら最終的には、生徒たちの未来を見据えて1人1台端末の導入を決めました。現実問題として、現代の社会でパソコンを使わない職場はほぼ皆無です。在学中に端末操作に慣れ、できるだけITリテラシーを高めた上で社会に送り出してあげたい、こうした教員の強い思いが導入を後押ししたのだと思います」(濵田先生)

 1人1台端末の導入後は、教員による生徒の学習状況の把握や、生徒によるプレゼン資料の作成などに端末が活用されてきたという。

 「同じクラス内でも学力差があるため、教員は教育ICTサービスを利用し、主要5科目の学習において生徒がどこでつまずいているのかを把握するようにしています。また、生徒はグループ毎に分かれて調査し、プレゼンする際に1人1台端末を資料作成に使用するなど、アウトプットツールとして活用しています」(濵田先生)

学びを生徒一人ひとりに最適化するために

 「1人1台端末を活用した授業においては、学びを個別最適化するとともに、生徒の間で情報を共有し、新たな発見をすることが大事だと思っています。

 『InterCLASS® Advance』は、教員が各グループの学びや、各生徒の学習状況を確認するために使っています。特定のグループが作成した資料を全体に共有すれば、生徒たちの学びの幅がさらに広がるからです。また、同じ課題でもいろいろなアプローチや考え方があることを相互に認識できれば、解決方法は一つだけでないことを理解することができます。そのようにして、1人1台端末を活用して学びを個別最適化するだけでなく、『InterCLASS® Advance』を使って、『学びの深化』につなげることが今後の目標です」(濵田先生)

 1人1台端末の活用に加え、秀岳館高等学校には情報処理室(PC教室)が2教室あり、「情報」や「プログラミング」の授業でもICTを活用している。

情報処理室(PC教室)ではビジネスシーンで活用が当たり前となっているWordやExcelなどの習熟に力を入れている。
情報処理室(PC教室)ではビジネスシーンで活用が当たり前となっているWordやExcelなどの習熟に力を入れている。

 「ビジネスではクラウドサービスがメインで活用されるようになっていますが、本校ではまず生徒たちがWord、Excel、PowerPointを習熟できるようにサポートしています。ただ、その際に困るのが、情報処理室で不特定多数の生徒たちがログインし、作成したドキュメントをそのまま端末に残してしまうことです。この点、『CaLabo® LX』を使えば、授業ごとにファイルを配布・回収することで管理の徹底ができるため、安心です」(濵田先生)

 秀岳館高等学校では、すでにICTが教員の間に浸透し、業務効率化に使われるようになってきた。今後は、ICTに関する校内研修を定期的に行い、教員に具体的な活用事例を学ぶなどをしてもらいながら、さらに多くの教員が授業内で活用することを目指していく。

秀岳館高等学校<br>ICT推進担当教員<br>濵田 圭祐 先生

秀岳館高等学校
ICT推進担当教員
濵田 圭祐 先生

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