個別最適な指導と業務効率化を両立! 導入から5年目を迎えた『MX』活用術
―広島県―
広島市立舟入高等学校
国際教育に力を注ぐ広島市立舟入高等学校では、語学学習支援システム『CaLabo® MX』を導入し、5年目を迎えている。生徒個別の発音練習の効率化にとどまらず、教員の試験作成業務の効率化など、現場の負担軽減と指導の質の向上を両立させている。システム導入による授業の変化と、教材の資産化がもたらす未来の教育ビジョンについて、同校の国際教育を牽引する柏原先生に話を伺った。
広島市立舟入高等学校
〒730-0847
広島市中区舟入南一丁目4番4号
広島市中区にある市立高校。「自主自律」の精神のもと、探究活動「ABLE」やICTを活用した主体的な学びを展開。英語教育に特化した「国際コミュニケーションコース」を擁し、グローバルリーダーの育成に注力している。
教員の業務負担軽減と、生徒主体の「個別最適な発音練習」
舟入高等学校に『CaLabo® MX』が導入されたのは2021年度のこと。第一印象を、柏原先生は「発音チェック機能や、間違えた単語の自動登録機能、多言語対応など、当時の日本の教育現場では群を抜いて先進的だと感じました」と振り返る。
導入以前、発音指導は教員の多大な時間と労力に支えられていた。20人ほどのクラスでは、生徒一人ひとりに文章を練習させ、教員の前で発表させてチェックを行う。合格した生徒が次の生徒を教える仕組みを作ったり、プレゼンテーションへ個別にコメントを返したりと、丁寧だが根気のいる作業の連続だった。部活動(ESS・英語部)でも、10人ほどの部員の発音の癖を一つずつ聞き取り、直接指摘していたという。
現在、授業や部活動における発音指導のあり方は大きく変化している。生徒たちは自身のプレゼンテーション原稿などのスクリプトを『CaLabo® MX』に入力。システムが即座に生成する正確な音声をお手本にしながら、納得がいくまで自席で個別最適な発音練習を繰り返している。
ヘッドセットを通じて自分の声とモデル音声を聴き比べながら、シャドーイングやリピートトレーニングを重ねる生徒たちの姿は、今や日常の光景だ。教員に頼り切るのではなく、システムを活用して主体的に自走する学びが定着しつつある。
指導の効率化に加え、教員の業務効率化の面でも効果は大きいという。「以前は音声をALTの先生に録音してもらう必要がありましたが、その依頼が不要になりました。生成AIと組み合わせれば英文のエラーチェックも短時間で済みます」。作成した音声はMP4やMP3で書き出せるため、定期考査のリスニング問題の準備にかけていた時間も大幅に削減された。
また、授業で3人1組になって異なる資料を読み解く「ジグソー法」を取り入れる際にもシステムを活用している。難易度の高い英文であっても、事前にスクリプトをシステムに読み上げさせ、生徒が各自で発音練習に取り組む時間を設けることで、教員がすべての単語を教える負担を抑えつつ、学習の効率化を図っている(下図参照)。
『CaLabo®︎ MX』活用術 : 生徒による発音練習教材の作成
教材を「学校の資産」に ── クラウド共有が拓く未来
柏原先生が見据えるのは、教材を体系化し、共有していく先にある未来だ。現在およそ100種類ある独自の教材を、難易度やCEFR(語学力の国際指標)に応じて分類し、生徒がいつでも使えるフリー教材として『CaLabo® MX』内に蓄積したいと考えている。時事ニュースと連動し、その背景にある世界情勢まで理解できる教材づくりも構想中だ。
さらにその先には、学校の枠を超えた横展開への期待がある。「『CaLabo® MX』を使った指導事例や教材を、教員同士が共有できるクラウド環境ができれば、地方や過疎地の教育格差を実質的に修復し、多忙な先生方を支えることにつながるはずです」(柏原先生)
導入から5年。柏原先生は、たとえ自身が異動になったとしてもこの教育が同校に根付いて続いていくよう、教材をパッ ケージ化し、シラバスを整える準備を進めている。まずは校内の教員が広く活用できるよう、自ら教室を回りながら技術的なサポートを重ねているところだ。
同校が近年力を入れている「模擬国連」への出場に向けた活動など、高度なリサーチや英語での論理的思考力が求められるハイレベルな実践の場においても、『CaLabo® MX』で培った基礎的な英語発信力が大きな土台になっている。今後はこうした模擬国連の活動などとも連動させながら、本製品の導入効果を学術的に検証し、研究としてまとめることも柏原先生は視野に入れている。
『CaLabo® MX』から始まった新たな試みと実践は、「世界とつながる英語教育」を全国へ広げる構想へと、静かに育ちつつある。
進路指導主事/英語科教諭
柏原 奨平 先生