「すぐ近くで見える」から技術が伸びる。 中間モニター×授業支援システムが支える、商業高校のPC教室
―福岡県―
久留米市立久留米商業高等学校
1人1台端末が普及し、普通教室での授業が当たり前となった今も、積極的に「PC教室」を学びの拠点として活用し続けている高校がある。文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に採択された、久留米市立久留米商業高等学校である。 WordやExcel、プログラミングといった細かな操作を、教員機の画面を各机の中間モニターに映しながら、目の前で確認して習得していく―。その実践を支えるのが、ハードウェア画像転送システム『S600-OP』と授業支援システム『CaLabo® LX』である。PC教室の多様な使い方と、中間モニターが拓く可能性を取材した。
久留米市立久留米商業高等学校
〒830-0051
福岡県久留米市南1丁目1-1
明治創立の伝統を誇る市立の商業高校。「商業教育を通して、人間力を育む」の校風のもと、高度な資格取得やビジネス教育を展開。近年はデジタル社会に対応したICT活用や、地域と連携した実践的な学びを通じて未来のビジネスリーダーを育む。
商業高校のDX──DXコース・公認会計士コースという新たな選択肢
久留米商業高校は、大学進学コース・経営情報コース・経営総合コースを擁する商業高校だ。「DXハイスクール 」の採択校に決定し、経営情報コースの中に新たに「DXコース」を設けた。簿記の学習を1年生のうちに終え、2年生からは情報や数学の授業を増やすことで、情報工学部や工学系への進学を目指す生徒を育てるカリキュラムへと刷新している。さらにプログラミングの授業では、ドローンや3Dプリンター、裸眼で立体に見える映像技術などを導入。PC上で数字を処理するだけでなく、「実際にものが動く楽しさ」を体験させることで、情報系への進学意欲を高めている(右ページ下の写真参照)。
新設の「CPA(公認会計士)コース」も特色のひとつだ。高校3年間と大学4年間を合わせた7年間で公認会計士資格の取得を目指すもので、日商簿記2級を基本目標に、1級やその先へと挑む学習体系を整えている。
「PC教室をさまざまな形で活用する」──多様な使い方
同校では、すべてのコースにおいて、PC教室を使って「情報」の授業を行っている。生徒は1人1台のChromebookを持っているが、社会に出てからの実用性を見据え、PC教室ではWindows環境とMicrosoft Officeソフトを用いた実習を重視している。情報処理検定やMicrosoft関連の検定対策から、各コースの専門的な学びまで、PC教室は幅広い場面で活用されている。
WindowsとChromebookという二つの環境を併用していることも、生徒にとってはむしろ強みになっている。OSの違いを特に意識することなく使い分け、文書作成の課題でフォーマットの指定があっても、両方の環境を行き来しながら対応する。こうした経験そのものが、社会で役立つ適応力を育てている。
中間モニター(S600-OP)が変える、操作指導の質
PC教室の学びを支える要が、各机に置かれた「中間モニター」である。教員機の操作画面を、ハードウェア画像転送システム『S600-OP』を通じて中間モニターへ映し出す。WordやExcelの細かな操作、プログラミングのコード入力など、一つひとつの手順を、生徒は目の前の中間モニターで確認しながら自分の手を動かせる。
「教室前方の大画面モニターよりも、すぐ近くの中間モニターのほうが、細かな操作の過程を確認しやすい」と現場では評価されている。視線を大きく動かさずに、先生の操作画面と自分の画面を見比べられるため、操作の習得効率が高い。教える内容がソフトの細部に及ぶ商業高校の情報教育において、この「すぐ近くで見える」環境は大きな意味を持つ。
ここに、中間モニターの可能性が見えてくる。一文字のミスでエラーが起きやすいプログラミングの学習でも、手順を正確に追える。新しい機材やソフトを扱うDXコースの授業でも、複雑な操作を全員が同じ目線で確認できる。教員が一人ひとりの席を回らなくても、画面を介して同じものを共有できることが、これからの実習授業の幅を広げていく。
授業支援システム『CaLabo® LX』が支える、教室の運用
PC教室の運用を支えるのは、中間モニターだけではない。授業支援システム『CaLabo® LX』もまた、その中心的な役割を担っている。
活用のかたちは、時代に合わせて変化してきた。導入当初は小テストの配信などにも使っていたが、現在はGoogle Formsなどのウェブサービスが普及したため、その役割は外部ツールへと移行した。一方で、現在も中心的に活用されている機能は多い。管理画面から各生徒の画面をリアルタイムで確認して進捗を把握し、操作に遅れが出ている生徒にはリモートで遠隔操作しながらサポートする。電源の一斉管理も可能で、授業の開始・終了をスムーズに進められる。検定などの場面では、指定URLの一斉起動やロック機能を活用し、公平な試験環境を確保している。必要な機能を見極めながら、PC教室の運用に欠かせない存在となっている。
これからのPC教室に向けて
1人1台端末が普及し、普通教室での授業が増えるなかでも、久留米商業高校はPC教室での授業を大切にしている。Windowsベースの実習環境を提供し、教員が画面を見ながら直接的に操作を指導できることは、情報教育において重要な役割を果たすからである。
中間モニターと授業支援システムがかみ合うこの環境は、検定対策から最先端のDX教育まで、多様な学びを一つの教室で受け止めている。「すぐ近くで見える」を起点にしたPC教室の挑戦は、これからも生徒の力を着実に伸ばしていく。
*Chromebook、Google Forms は、Google LLC の商標または登録商標です。
*Windows、Microsoft Office、Word、Excel は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
商業科 教諭
松尾 伸一 先生