公開日:2008/11/13

CALLでリスニング&発音のレベルアップ

CHIeru.WebMagazine限定版

チエルマガジン4号(2008年秋冬号)ではお伝えしきれなかった活用のエピソードをCHIeru.WebMagazine限定版でご紹介します。

 

(市立函館高等学校校舎)

函館と言えば五稜郭。全国から多くの人が訪れる、日本でも有数の観光スポットだ。
その五稜郭のすぐ傍に市立函館高校はある。
生徒数1,030人の同校は、函館東高等学校と函館北高等学校が一つになり、 2007年4月に開校した市立の高等学校だ。
同校は開校にあたり3つの目標を掲げている。「進学重視型単位制高校」「人間性を育てる伝統を継承・発展」「郷土の歴史を受け継ぎ、未来を拓く学校」の3本柱である。
その中でも、特徴的なのは単位制を取っているところだろう。生徒に自ら目標を設定させ、主体的に努力する力を育成させている。それに伴い、少人数制授業の展開や55分6時間授業など積極的な取り組みを行なっている。 積極的な取り組みは勉強だけではない。部活では、200名以上の生徒が全道大会出場を果たし、多くの生徒が全国大会で活躍している。
(教頭 河合宣孝先生) (英語科主任 秋元 昇先生) 今回、取材した英語科においてもCALL教室でCaLaboや英検CATを活用して、質の高い英語教育を実践しているということで、教頭の河合宣孝先生と、英語科主任の秋元先生にお話を伺った。

『全生徒が2級を取る事も可能だと思っています』

同校は英検本試験の準会場にもなっており、毎回、多くの生徒が英検にチャレンジしている。
受験する生徒の70%は、なんと高校一年生で準2級からチャレンジしている。
「英語科としては、高校卒業までに全員に2級を取得させたいと思っています。一方で大学受験の取り組みもあるので、授業中に英検に特化しているわけではないが、全生徒が2級を取る事も可能だと思っています。」と秋元先生は話す。

同校では、e-Learningサービス「英検CAT」のID・パスワードを全生徒が持っており、1年生から自宅学習や一部の一斉授業に活用している。
90%以上の生徒は自宅にパソコンがあり、インターネットができる環境になっている。学校での取り組みだけでなく、自宅でも学校と同じ教材でインターネット学習ができるという点が評価されているようだ。 1年生からパソコンを使ったe-Learning学習をすることについて、生徒に戸惑いは無いのだろうか?秋元先生に聞いてみた。
「今の子どもたちはパソコン世代なので、なにも違和感はなくすんなり入ります。一応、最初の授業では、ID・パスワードの設定などのオリエンテーションを行いますがそれ以外は特に何も必要ありません。」
さらに秋元先生は生徒たちの英検CATを使っての感想を教えてくれた。
「思いついたときに学習できる事が良いみたいです。いちいち紙と鉛筆と辞書を用意しなくてもすぐに学習できる。
特にリスニングに関しては、良いと感じているようですね。今までは、CDなどでの取り組みもあったのですが、やはり英検CATの方が簡単に始められる様ですね。」
生徒たちにとってパソコンを使った学習は特別なことではなくなっている様だ。英検CATは5級から1級(1級は一部の問題のみ)まで自分のレベルに合わせて取り組めるのが特長で中学生から大学・社会人まで幅広い学習者に使っていただいている。それゆえにユーザインターフェースの開発には力を入れている。高校1年生でも違和感なく学習に取り組んでもらっているというのは、我々にとってもとても嬉しいことだ。近い将来、きっと全員英検2級取得ができる日が来ると感じた。

『現場の先生たちと導入企業のアイデアとノウハウが詰った教室作り』

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(教卓)

同校のCALL教室は、語学学習にとって本当にすばらしい環境作りがされている。英語科の先生たちと導入企業の努力とノウハウが感じられる教室だ。
まずは机。北海道産のならの木で作ったということだ。通常のパソコン教室はモニタやキーボードが置かれ、どうしても作業スペースが少なくなりがちだが、同校の机は普通教室よりも広く作られている。これならパソコンを使いながら、教科書やワークシートなら十分取り組めるスペースがある。

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(普通教室の机より広く使えるデスク。)

読者の中には、これからCALL教室を導入する学校の先生もいらっしゃると思うが、秋元先生が大変参考になるお話を頂いたので紹介したい。
「CALL教室の欠点として、生徒とのスキンシップの時間が取りにくいという点が上げられると思います。しかしこの教室は、かなり広く余裕のある作りになっていますので、机間指導して生徒とのスキンシップを取ることも可能です。また机も普通教室よりも広く作っています。それはこの教室の大変良い点だと感じています。木の机に関しては暖かみがあるという点もありますが、きわめて落書きが少なくなりました。」

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(広く導線を確保している)

CALL導入前は、LL教室として使っていたようだが、LL教室としては広すぎて先生の指示が全員に伝わらないということもあったようだ。
「しかし、CALLになってからは逆にこの広さがメリットになっています。学生の画面も確認できますし、教卓からコントロールできますので、指示が伝わらないということはありませんね。多くの先生が頻繁にこの教室を使うようになりました。」秋元先生はそう話してくれた。
 

『音声面は完璧ですね。(笑)』

「CALL教室での授業が好きなので、OC Iや英語Iをはじめ、様々な授業で使っています。」
河合教頭先生は、前任校でもCaLaboを使って授業をしていただいていた。
河合先生の授業の一例を紹介いただいた。
まずは導入でランダムペアで生徒同士で会話させる。途中で先生がインターカムで入っていき、生徒たちの様子を確認しながら指導していく。
そしてソフトテレコを起動して、CDを再生しながら取り込んだ音声を、それぞれの生徒のペースやレベルによって、音声の再生を早くしたり、遅くしたりしてシャドーイングを取り組ませる。
そして、5分〜10分練習させて、自分の音声を録音させて提出させるという流れということだ。
「良い生徒の音声は、みんなに聞かせます。やはり英語は音声言語ですので、音声面は重要です。」
「英語の学習には、知的側面とトレーニング的側面の両面があると思います。知的側面ももちろん大事ですが、トレーニング的側面として音読するとかディクテーションするなど、作業的な取り組みを多く取り入れて生徒の学力を高めていくことについては、非常に有効的なシステムだと思いますね。」
かなりのヘビーユーザの河合教頭先生は、その後もSMART−HTMLでの自作教材の使い方や、CNNの音声を活用した授業の有効性などを丁寧な言葉で説明してくれた。

『とにかく使ってみることが大事だと思います。』

最後に、秋元先生にCALL教室をこれから使う先生方に何かアドバイスをくださいとお願いしてみた。
「自分にとって一番使いやすい部分だけでも、英語科全員で共通して使えるようになれば良いのではと感じています。正直言うと本校で、今一番使っているのが、実物投影機を使ってプロジェクタや生徒のモニタに教材や教科書を映し出すことです。それであれば、普通教室での授業の延長として使えます。始めは難しい機能を使うのではなく、簡単なことだけから始めた方が良いように思います。その積み重ねで難しい機能も使えるようになると思います。」
確かにCaLaboを含め現在のCALLシステムは多くの機能を持っている。色々な機能や他のソフトウェアと連携して複雑なことが出来るのも魅力の一つだろう。
「こんなことも出来る、あんなことも出来る。複雑なことをやりなさいと、難しいことを説明しても、なんだか出来そうにないというイメージが先に出てきて怖気づいてしまうのではないでしょうか?とにかく使ってみることが大事だと思います。」
同校でも、最初から多くの先生がCALL教室を使っていたわけではないという。導入当初は二の足を踏む先生もいたが、英語科の共通認識として、自分の授業の中で週1、2回は使っていこうということになり、分からないなりに使い、お互いに情報交換するうちに色々良い点、メリットを実感するようになっていったそうだ。
そして、今では多くの先生がご自身のツールとしてCaLaboを活用しているということだった。

教頭 河合宣孝先生

英語科主任 秋元 昇先生

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