公開日:2008/5/12

子どもたちのIT活用力を育てる

School-NET 活用事例

“大蛇””恵比須”など、室町時代より受け継がれる”石見神楽の里”益田市。 島根県西部に位置するこの市では、教育委員会と市内小中学校とが連携し、 授業におけるITの積極的な活用に向けた取り組みが進められている。

「子どもたちのIT活用力を育てる」
 ー益田市立吉田小学校

P41-1.jpg

原教頭先生(右)と長島先生(左)

コンピュータ教室のリプレイスと主に導入されたのは、2005年11月1日、以来、コンピュータ教室はフル稼働し、利用予約を入れることが難しい状況にさえなっているという。
 このような同校では、校内で定める”益田市立吉田小学校パソコン及びパソコン周辺機器使用規定”に基づき、1年生から6年生まで、各学年の指導目的に応じた授業が実践せれている。
 例えば、1年2組ではマウスの使い方になれる授業がスタート、担任の岩本 和恵先生が『InterCLASS』を操作し、児童用パソコンが一斉に起動すると、「あぁー、勝ってに(コンピュータ)が動きだしたぁ!」と大歓声が上がる。そんな子どもたちの前に、まずは”画面転送”。お絵描きソフトを起動させると、スタンプ機能を使って、様々な絵を描いてみせた。そして、今度は、子どもたちが、お絵かきを体験。そわそわしながら児童用パソコンの画面を見つめていた子どもたちだが、先ほど目の前で操作方法を見たためか、あっと言う間に作品づくりに夢中になった。

P41-2.jpg

みんなの前で発表だ!

 また「石見神楽」や「益田市の方言」など、地域の特徴をテーマにしたプレゼンテーションに取り組んでいる3年1組では、子どもたちがグループに分かれて作成した作品の発表会が行われていた。先生用パソコンの前に立ち、発表に挑む子どもたちの顔は、少し緊張している。それでも”画面転送”機能を活用して、自分たちの作品を全員の児童用パソコンに提示し、「始めの言葉」「目次の説明」から本文へと、構成を考え作成したプレゼンテーションを発表していく声は、堂々としていた。国語の指導と連携しながら、「まずは、夏休みの宿題から段階的にレポートを書かせ、11月よりICTを活用した指導に入りました」と担任の長島 靖和先生。
 昼休みもコンピュータ教室を開放するなどICT機器を日常的な存在として活用している吉田小学校。同校ではこのような取り組みについて、原 節夫教頭は、「デジカメ・コンピュータなどのICT活用を授業の中に取り入れることで、どのような方法でICTを活用したら良いか、子どもたちは、自分で選択しはじめています」と話してくれた。

 

「生徒の”利用者責任意識”を育てる」
 ー益田市立横田中学校

「”アダルトサイト”や”ゲーム系サイト”など、指導上見せたくないホームページについては、フィルタリングをかけています」と語るのは、『InterSafe』を導入いただいている田原 博教頭。一方で、修学旅行の事前学習時など、担当する先生が必要に応じて、”ショッピング”など、特定のカテゴリについては、閲覧規制を解除することもあるという。 その上で、同校では、ネットワーク活用に関する運用規定を作成。同時に、生徒一人ひとりにIDとPasswordを持たせることで、「”利用者責任”を感じるように指導しています」と田原教頭は話す。「授業において、コンピュータが目新しいという時代は過ぎましたよね」という田原教頭の言葉どおり、安全な環境の中で、まずは、生徒たちのITに対する”責任意識”を育てている。

IT活用に向けたバックアップ体制を充実
ー益田市教育委員会副主任主事 村上 智視氏

「まずは、平成15年度に益田市情報教育活性化推進協議会を発足し、協議会の提言を受け、16年度に益田市情報教育環境整備計画を作成、そして、翌17年度、市内全小学校20校において、コンピュータ教室が整備されたのです」と話すのは、益田市教育委員会 村上 智視副主任主事。教育委員会と現場の先生方をメンバーとして構成する”協議会”を発足させることで、先生方の意見を最大限に反映させた環境を実現した。
 「まずは、使っていただくということが一番」という村上副主任主事の言葉どおり、コンピュータ教室がフル稼働の状態という。その上で「稼働率を測定することで大規模校への対応を検討したり、アンケートを取るなどして、これからも現場の声を吸い上げていきたい」と話してくれた。

子どもたちの情報活用能力を育成する
ー益田市教育委員会 陶山 勝教育長

中学校で音楽を指導していた教員時代の経験を踏まえ「現場の先生からの意見を聞き、活用する先生が支障なく利用できる環境を整えることが必要」と語るのは、陶山 勝教育長。その上で、子どもたちに対するITへの指導について「例えば、インターネットで必要な情報が調べられることは、とても便利。しかし、これを一つの道具としてではなく、他のものと組み合わせながら複合的に活用することが大切」と強調した。このような情報活用能力を”社会の中で必要なこと”とする陶山 教育長だが、「コンピュータに振り回されないためのIT教育が、生きていく上で重要であり、日常生活の中でも、その取り扱い方を教える必要がある」とも話してくれた。

田原 教頭先生

村上 智視主事

陶山 勝教育長

この記事で使われている製品

この記事に関連する記事